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サマースクール2011 2日目 前編

~ 前回までのあらすじ ~

 小さな村に住む5人の冒険者見習いたち。
 ある朝、「村の大切な何かを奪った犯人を探してほしい」と村長さんから依頼をされました。村の周囲で七転八倒した結果、犯人一味を見つけたものの、主犯格である白いローブの男を取り逃がしてしまいます。さらに大切な何か(古文書と判明)もその半分を持ち去られてしまいました。
 残りの半分を狙って、白いローブの男は再び襲ってくるかもしれません。そうなる前に、大きな町の神殿まで届けることになりました。
 さあ、長い長い冒険の旅の始まりです!

 ……とこの続きがサマースクール第2回です。

 どんな冒険が待ち構えているのか!? といえば……

  ・ 旅の道中、川沿いの村に立ち寄った冒険者見習い一行。
    街道にかかる橋を渡ろうとすると……悪天候で壊れてしまったらしい!
  ・ 迂回路を探すと、山間の洞窟が向こう岸につながっているらしい。
  ・ しかし、その洞窟はモンスターの巣窟となっており……

 ……なんてシナリオを用意して臨んだサマースクール2日目。
 開始時間の30分前に学校入りし、鍵を受け取って教室に来ると……
 スペディオが教室の前で待っているではありませんか!

ほくろん:朝早いねぇ。どうしたの?
スペディオ:ダンジョン書いてみたんだけど……
ほくろん:すごい! 1晩でよく作れたね。見せて見せて。

 実は「続きのダンジョン、作れる人は作ってみてね~」とお願いはしてあったのですが、翌日作って来るとは思いませんでした。
 しかも……

ほくろん:舞台は……洞窟?
スペディオ:そう! エオーラの町に行くまでにどうしても洞窟を通らなきゃいけなくなったんだけど、そこにモンスターが待ち構えている! どう?

 発想が僕と同じでした。
 嬉しいような、くやしいような……(笑)

 「立ち寄った村で洞窟の場所を知る」という流れもおんなじですが、スペディオ案では強力なモンスターのいる森を回避するために洞窟を使うそうです。

 ゲームとしてのバランスもチェックしてみますと、

ほくろん:洞窟にいるモンスターがちょっと強いな。
スペディオ:そう?
ほくろん:1体減らしてもいいね。この弓ゴブリンはGMが負けそうになったら援軍で出すようにしようか。
スペディオ:わかった!


 「負けそうになったら」。

 この言葉の解釈でシナリオがとんでもないことになるとはこのときは露知らず……

 ともかく、小学生のGMによる中級セッション、開始です。



GM:みんなはエオーラに向けて旅をしている。その途中である村に立ち寄った。
デニス:早く先に進む!
GM:じゃあ村から出ようとしたら、声をかけられる。「あなたたちは旅の人ですか?」
デニス:見れば分かるだろ!
バスター:わからないんじゃない?
デニス:えー、でも毛布とかもってるじゃん!
エイシー:おーい、村人はほったらかしかー?
ゼロ:「旅の人ですよ。」
GM:「良かった! ちょうど困っていることがあるんです。実は……」

 村の近くにある洞窟。そこは村人や旅人が普通に使っている通り道だったのだが、昨日からモンスターが占領してしまったという。
 
 ……ところで、「エイシー」というキャラクター、聞き覚えがありませんね。
 今回から参加の新キャラクター、そのプレイヤーは……僕です。
 2日目はスペディオがGMのため、ウィザード不在状態。
 これでは魔術攻撃ができない! という問題に自ら気付いた子どもたちに、新キャラを作るよう要請されたのでした。
 なお今回はローグのライボルトが休みのため、
 
 デニス/ファイター(剣術)
 バスター/シーフ(弓術)
 ゼロ/レンジャー(剣術)
 エイシー/プリースト(魔術)

 というメンバーで冒険をしています。

GM:「……ということで、モンスターの退治を頼めませんか?」
デニス:報酬くれるの?
GM:「ひとり100Gぐらいなら……」
デニス:え~、もうちょっと~
GM:「そうは言っても……」
バスター:おねがい!
GM:「う~ん、どうしよっかな~。110Gまでかな~」
バスター:115G!
エイシー:(ずいぶん楽しそうだなー)

 結局、110Gまで吊り上げて依頼を引き受けた彼らは、さっそく洞窟へと向かいます。



GM:洞窟の前はこうなってて……


110825_1.jpg


デニス:……まっすぐいっちゃいけないの?
ゼロ:森の中を?
デニス:……うん。
GM:そこは危険なモンスターがたくさんいるらしいよ。
デニス:洞窟の中と森の中と、どっちか危険か分からないじゃん!
エイシー:(確かに……)モンスターの正体、しりたいね。
バスター:足跡を探してみよう!

 と、ダイスを振ってみますが……

GM:そうだねぇ。小さいのと大きいの、あと小さな丸い跡があるよ。
バスター:丸い跡?
デニス:あ! 杖かな?
GM:なんだろうねぇ(にやにや)。それに細長い線のような跡も残っている。
ゼロ:なんだそれ……?
バスター:そうだ! どんなモンスターがいたか見た人はいないかな?
デニス:話聞けばいいじゃん!
GM:ここで? 誰もいないよ?
デニス:じゃあ村に戻ればいいじゃん!

 ……ということで村に戻ってモンスターの目撃情報を探ります。

GM(村人):「私が見たのは、人間のような形をしていて、体の大きなモンスターと小さなモンスターです。」
デニス:そんだけ?
バスター:全部のモンスターを見たわけじゃないだろうし……
ゼロ:「何色のモンスターでしたか?」
GM:「緑色でした」

 初級にそんなモンスターいたか……?

 ともかく、ある程度の情報を得たところで洞窟に再挑戦です。

GM:洞窟の前ね。
バスター:入り口までに罠はあるかな……?
デニス:よし! 罠を探す!
ゼロ:まって。お前は感覚が低いだろ?
デニス:ああ! 俺は感覚が低いんだよ!
ゼロ:だったらお前じゃないだろ!(笑)
バスター:GM、探して良いかな?(←シーフ)

 言い争っている2人を尻目に、バスターが鳴子の罠を発見します。

バスター:どうしよう?
デニス:石を投げて、遠くから反応させちゃえばいい!
エイシー:それさ、音鳴るでしょ?
デニス:そうかっ……
ゼロ:じゃあ音が鳴る部分を固定してから、石を投げたら?
バスター:石投げても、当たるかどうかわかんないよ。
ゼロ:だったらさ、毛布を丸めて転がせば……
GM:転がるかなぁ……
一同:がやがや
エイシー:……跨いで行けばいいんじゃない?
一同:なるほど!(笑)

 罠は創意工夫で不発させる、というスタイルはおしゃれですが、そもそも何のために罠を解除するのか忘れがちなメンバーでした。
 (ちなみに「わざ判定でわな解除!」というような宣言はあまり出ません。
  その理由ははっきりしませんが、クラブでそういう処理を経験してないからなのか、
  はたまた「わざ判定で解除」というゲーム的な、手順的な解決方法よりもイタズラ心が刺激されるからなのか……)

GM:じゃあ入り口まで来たけど?
ゼロ:中に入ってみよう。
デニス:まって! 俺が先頭が良い!
ゼロ:でも俺、防御高いよ(←ショートスピアを使っているのを誇りに思っている様子)
デニス:俺ファイターだもん! ファイターが先頭でしょ!
バスター:HP高いのはどっち?
デニス:俺でしょ! ……あーっ! ダメージ食らってる!(笑)
ゼロ:じゃあ俺……俺も食らってる!(爆笑)

 なぜこのタイミングでダメージを……と思ったら、前回のダメージをキャンセルし忘れていたのです。

 ここは「回復してたってことで」とも考えたのですが、今はセッション中。
裁定をするのは僕ではなく……

エイシー:どうしよう、GM?
GM:じゃあね、1晩寝たら回復して良いよ。

 『中級』では「食事をとり、6時間寝るとHPが1D点回復する」というルールが定められています。GMはこのルールどおりに回復するように求めたということ。
 けっこうシビアですね(笑)

ゼロ:どうする?
デニス:回復する!
バスター:ここで寝ると怒られるよ!
エイシー:(誰にだ……?)
デニス:じゃあ村に戻って寝る!(笑)

 
 まさかの展開。

 再び村に戻ります

GM:村には宿屋があるから、そこで寝られるよ。
ゼロ:でもお金かかるんでしょ?
デニス:やだー! 毛布があるから外で寝る!
エイシー:おい! 何のために村に戻ってきたんだ!(笑)
GM:良いよ、宿代は依頼した村人が出してくれます。
デニス:やったー!

 経費扱いで一泊したパーティーはついでに買い物を済ませ、体制は万全。
 翌朝、改めて洞窟へと挑戦します。

 なるか、三度目の正直!






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コメント

[C145] 接触感染で教育

「TRPGは接触感染」と言う様に
TRPGの楽しさは実際に参加してみないと分かりにくかったりしますが
実は、経験者たちに混ぜてもらう事でTRPGでの話の展開パターンを教えてもらっていたのですね。
パターンを知らない子供たちは効率が悪いというか、行動がグダグダ。面白いけど。w
とりあえず、HPを回復する魔法の薬が高く売れるパーティだなと思った。(爆)
  • 2011-08-27 20:12
  • 白い北風
  • URL
  • 編集

[C146] Re: 接触感染で教育

白い北風さま

 コメントありがとうございます。

> 実は、経験者たちに混ぜてもらう事でTRPGでの話の展開パターンを教えてもらっていたのですね。

 子どもたちと遊んでいると、TRPGはルールブックに書いていない"約束事"が多い遊びだと痛感します。
 ダンジョンアタックの定石しかり、プレイ中のマナーしかり……
 ただ定石通りじゃない展開/非効率的なプレイでも、「TRPGっぽい楽しさ」は感じてくれているようで嬉しい限りです。

> とりあえず、HPを回復する魔法の薬が高く売れるパーティだなと思った。(爆)

 さすがの御慧眼、おっしゃるとおりの展開になっていますので続きをご覧くださいませ(笑)
  • 2011-08-28 17:31
  • ほくろん
  • URL
  • 編集

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プロフィール

ほくろん

Author:ほくろん
愛知県内にて青少年育成の指導者・アドバイザーをしつつ、TRPGやボードゲームの作成・普及啓発を行っております。

今となっては遠く離れ、それぞれに凝固している教育とあそびを、少しずつ暖めながら融和させていきます。

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登録名は『冒険王道』の著者名です。
(あくまで個人アカウントですので、ご承知置きください)