fc2ブログ

Entries

サマースクール2011 3日目 後編

 積荷を奪われた商人を助けるため、モンスターのいる洞窟へとやってきた冒険者見習い一行……
 ……のはずが、その正体は町のコソドロ。実は一行を洞窟におびき寄せるだったのです!
 しかも、何者かによってコソドロもろとも洞窟に閉じ込められてしまった一行。
 裏で意図をひいていたのはもちろん……

スペディオ:やっぱり白いローブの男か……
デニス:えー! ゴーレムじゃないの!?

 ゴーレムはそんな賢いことしません。

 さて、抜け出すために八方手を尽くした一行でしたが、どうやっても入り口をふさいだ岩は動きません。

  110908_1.jpg

デニス:どうすんのー!
バスター:他のところを調べなきゃいけないのかな?
デニス:時間かかっちゃうじゃん! ご飯どうすんの!(笑)

 飛び出したこの発言に話は大脱線。

スペディオ:保存食はいちおうあるけど……
ゼロ:調理道具もってる!
デニス:じゃあその調理道具でさ、さっきのウルフを料理しちゃえばいいじゃん! 食べれるじゃん!
ゼロ:誰が料理するんだよー。
デニス:盗賊!
GM:「え、俺っすか!?」(笑)

 ということで、盗賊の縄を解いて料理をさせることに……

GM:「じゃあ料理しときますね……とほほ……」(まずい、脱線してるな……そろそろヒントを……)
バスター:GM、今まで調べたのってどこだっけ?
GM:(チャンス!)今のところ、入り口の岩あたりは調べたねぇ。
ライボルト:入り口じゃないとこってどこだ?
ゼロ:洞窟の壁は?
スペディオ:分かった! 行き止まりだ! 隠し扉があるに違いない!
デニス:なるほど!
GM:調べてみるかい?
デニス:俺! ……じゃない!(爆笑)
ゼロ:そうだな!(笑)
バスター:やるやる!(ころころ)

 仕掛け探しといえばシーフ。
 バスターが行き止まりの壁を探ると、そこには……

デニス:隠し扉でしょ?
GM:違うんですねぇ。どうも壁はそんなに厚くないようです。
スペディオ:これ、壊せるんじゃないの?
ゼロ:なるほどね!
デニス:誰がやるの?
バスター:判定はなに?
GM:壊すなら体力かな。
デニス:ねえ誰やるのー?( ← 早く先が見たくてしかたない)
GM:キャラシー見てみ。
デニス:あ! 俺!(笑)

 今こそ君の出番だ! 
 デニスとライボルトの体力自慢コンビが壁にタックルをしてみると……

GM:壁がガラガラと崩れる。その奥は……




  110908_2.jpg

 まっすぐに続く通路。広さは教室の廊下の4倍ぐらい(一同:でけーっ!)
 その壁はつるつるの素材でできていて、今いる洞窟の岩壁とは明らかに違う。
 不思議なことにぼんやりと明るくて、視界に困ることはない。

ゼロ:なんだろう?
スペディオ:遺跡みたいなやつ?
GM:そう、ウィザードのスペディオは聞いたことがある。古い時代に作られた迷宮のような場所だね。壁の一部には亀裂が入っていて、そこから水が浸入している。ところどころコケが生えていたり、かび臭かったりするのはそのせいだ。
スペディオ:どうする?
ライボルト:いってみるしかないでしょ。他に道もないし。
バスター:なんかお宝があるんじゃない? お宝!

 ということで足を踏み入れるバスターですが……

GM:感覚の判定して。  
バスター:えーっ!?(ころころ)12!
GM:壁の一箇所がぴかっと光る。それは光の矢だ! バスターに向けて飛んでくるぞ!
バスター:罠だー! よけれる?
GM:気づいたからよけて良いよ。バシュン! と反対側の壁に当たった。 
ゼロ:(すかさず)どっから光が出た?
GM:感覚で判定―

 成功したゼロは、胸の高さぐらいの位置に穴が開いているのを発見します。

スペディオ:この穴をよけて通れば当たらないのかな?
デニス:やってみればいいじゃん!
ライボルト:失敗したらどうするんだよ。
バスター:誰かがやるしかないよねぇ。
デニス:おい! 盗賊!!
GM:「俺っすかーっ!?」(爆笑)

 さすがにそりゃまずい……ということになり、身のこなしが得意なバスターが試してみることに。
 感覚で判定をした結果……

GM:……では、光の矢は反応しなかった。無事に避けて通れるようだね。

 うーん、「ふさぐ」とか「誰かがオトリになる」とかしてくるかな……と思ったんですが、意外とオーソドックスに回避されてしまいました。
 とはいえ、全員が通るわけですから……

ライボルト:あー失敗。
デニス:いってー! ダメージ食らった!

 ということで感覚低めの2人が失敗。

デニス:やだなー。回復したいなー。
ゼロ:薬は?
デニス:あるけどね、使いたくない。
スペディオ:じゃあ「休息」だね。ご飯食べて休んで回復。
デニス:おい盗賊! 飯まだ!(笑)
GM:「あとちょっとですー。」
ゼロ:ねえ、盗賊は今どこにいるの?
GM:まだ洞窟かな? 料理してるから動けないよね。
ゼロ:ごはん食べるのに向こう戻るの?
デニス:盗賊―っ! ご飯もってこっち来い!(爆笑)

 まだ続くのか盗賊コント(笑)
 ということで、調理道具一式を抱えたまま遺跡に突入する盗賊。
 腐ってもシーフなんで、回避は成功します。

GM:さて、奥を見ると道がカーブしていて……
バスター:罠さがし!

 遺跡にだって罠はある、と学習したバスターは慎重に確認。
 ここには罠はなかったので、曲がり角をまがると……

GM:すぐにでっかい壁。
バスター:行き止まりー?
GM:ただ、真ん中にほそーい溝がある。しかも、壁には何か文字が書いてあるようだ。
スペディオ:なにが書いてある?
GM:そうだなぁ……スペディオは読めるかどうか「知性」で判定かな。

 判定に成功したスペディオが読み取ったのは……

GM:「この先、研究施設により立ち入り禁止。合言葉を言え」で、その文字にはどこかで見覚えがあるぞ。
スペディオ:なんだろう?
ゼロ:あ! あの古文書じゃない?
GM:正解! 古文書も同じ文字で書かれているね。
スペディオ:そういえば読んでなかったね、これ。
バスター:読めるの?
GM:スペディオには……全部は難しいけど、飛び飛びでは読めるね。
ライボルト:合言葉は?
スペディオ:探して見よう!

 目を皿のようにして探した結果、見つかったのは……

スペディオ:『われは命を吹き込むものなり!』

 その言葉に応じて壁がぼんやりと光だし、左右にゆっくりと割れていく。
 その先にあったのは……

GM:だだっ広い部屋。壁沿いに本棚や実験器具が並んでいるが、中央には何も無く……天井からの水滴で大きな水溜りになっている。
一同:(聞いている)
GM:みんながその光景を見た瞬間、部屋の中央付近でいくつかの明かりがともる。そして、立ち上がるのは……数体のゴーレム!
デニス:出たーっ! あいつ? あいつ?
GM:ゴーレムはどれもサビていて、うまく動かないものもあるようだ。残念だが、あのときのゴーレムじゃないね。
デニス:くそー。俺が倒したいのに!
ゼロ:いないんだからしょうがない。
ライボルト:とりあえず目の前のゴーレム倒すぞー!

 ということで戦闘開始。
 ゴーレムが4体、白兵から弓術から多種多様な取り合わせで登場!

 ……なんですが、今回の戦闘、なんも面白いことが起こらなかったんで割愛します。
 いやー3日目になるとプレイヤーの習熟がすごくて、戦略的にも無駄が無いんですね。
 GMとしては嬉しいんですが、報告のネタにならないのは困りもんかも……?
 (予告になっちゃいますが、続く第4回はヒド……スゴいですから、お楽しみにお待ちください)

 ……あ、そうそうひとつだけ、ちょっとイイ話がありました。
 戦闘中、攻撃をしようとしたデニスの発言に注目です。

GM:じゃあこれでゴーレムズの攻撃終了。そっちだよ。
デニス:よし! 目の前のゴーレムぶっころ……
GM:(……?)
デニス:だめだ! これは悪い言葉だ!(爆笑)

 現場では大爆笑でしたが、実はたいへん感心しました。
 その言葉を反省したのは、僕の知る限りデニスが始めてなのです。
 戦略だけでなく、言葉の使い方も上達してくれると、嬉しいですね。

 ただ……

デニス:じゃあ、ぶっつぶす!

 ガラが悪いのはかわらんのかい!


 
 ゴーレムをばったばったとなぎ倒したメンバー。
 部屋の反対側にあった扉に近づくと……

GM:自然とその扉が開き、小高い丘の中腹に出ます。
バスター:良かったー!
GM:丘から見渡せる風景の中に、大きな町が見えますね。
スペディオ:おおー! やっとついた!
GM:長い旅の末、みんながたどり着いたところ……旅のゴール、エオーラの町です。
ゼロ:町についたら新しいアイテムとか買えるかな?
スペディオ:買い物の前に盗賊なんとかしなきゃ。
デニス:あー! 盗賊、ご飯は!?
GM:「へえ、皆さんが戦ってる間にあっためておきました!」(笑)

 仲良く(?)食事をして体を休めたところで、エオーラの町へ向かいます。



 エオーラの町は、全体が壁で囲まれています。
 出入りは決められた門からしかできません。

GM:ということで、門のとこ。
バスター:入っていいのかな?
GM:入ろうとすると、門番が止めます。「あー、そこの人たち。どういったご用かな?」
スペディオ:村から古文書を運んで……村の名前ってあったっけ?
ゼロ:(すかさず)デイジー村。デイジー村にしよう。
GM:(なぜ……)じゃあ、「デイジー村の皆さんですか! 話は聞いています。さ、神殿にどうぞ」そういって神殿に案内されるよ。
ゼロ:買い物は?
バスター:後で!
デニス:盗賊は!?(笑)
バスター:盗賊は……わかんない(爆笑)
GM:じゃあ門番が説明。「この町では、悪さをしたら神殿に連れて行くようになってます。そこでどんな罰が与えられるか、決まりますよ。」
デニス:でもそう悪いことはしてない。
バスター:報酬くれなかったけどね。
デニス:そうだ! やっぱだめだ!(笑)
GM:「まあ詳しくは神官様が聞くでしょう」といってるうちに、神殿に着きました。中に案内されると、いかにもえらそうな聖衣の老人が待っています。この神殿で一番偉い人ですね。「おお、君たちがデイジー村の冒険者たちか」
スペディオ:「はい! これを届け……」……待てよ。
GM:どうした?
スペディオ:……罠だったらどうする?

 
 ……!?

バスター:やばいよね。偽者かもしれない!
GM:(まずいっ!)「どうした? 早くこちらに渡してくれ……」
スペディオ:うわー! 今のは絶対怪しい!

 あ、ごめんなさい悪乗りしました。

 それはさておき、ここからの展開はもう泥沼
 「神官さんに成りすますのは相当困難ですよ」
 「いやいやローブの男なら……」
 「いやでも周りに何人もいますから」
 「その人たちもだまされているんじゃ……」
  
 実に5分近くの攻防の末、次第に信用してくれるようになりましたが……

GM:どうする? 渡す?
スペディオ:じゃあ、1枚だけ渡す。

 様子をうかがおうって魂胆か!

GM:……じゃあ一枚だけ受け取る。
バスター:(じーっと見ている ← GMを
GM:「……あの、続きもよければ……」
スペディオ:怪しい動きは?

 あ、怪しい動きってなんすか……
 ……

GM:もうごめんなさい……この人は本物です。
スペディオ:ほんとうでしょうね?
GM:ほんとうです……
スペディオ:じゃあ渡す!

 思いつきでだまされる導入なんかやった俺が悪かったっす……



GM:あ、ところで気を取り直して。盗賊さん。
デニス:どうなった?
GM:罰として、1ヶ月神殿周りの掃除ということになりました(笑) じゃあコレで今回の冒険はおしまい!
一同:お疲れ様でしたー!


 こうして今回の冒険も幕を閉じました。
 続く次回、第4回はここエオーラを舞台にした物語……
 なんとクラブ活動初のシティアドベンチャーです。
 その鍵を握るのは驚きのあの人物……!?

 次回は週明けぐらいに。
 では!












スポンサーサイト



コメント

[C147] GMは難しい

「そんな状況だから」仕方が無いのでしょうが文字通りの{一本道シナリオ}ですね。
と思ったら暴走しまくるプレイヤー達。
これで分かれ道が有る普通のダンジョンだったら確実に時間切れでしたねぇ。怖い怖い。w
小学校の授業用になると、昔のGM論でのタブーこそが有効になるだなんて
TRPGって、やっぱり面白い!!w
  • 2011-09-09 14:03
  • 白い北風
  • URL
  • 編集

[C148] Re: GMは難しい

白い北風さま

> と思ったら暴走しまくるプレイヤー達。
> これで分かれ道が有る普通のダンジョンだったら確実に時間切れでしたねぇ。怖い怖い。w
 
 このダンジョン、本来は扉を開くのにリドルを用意しておりました。
 ……が、それまでのドタバタで時間がなくなってしまったため、記事のような解決となりました。
 毎回が時間との勝負ですね~

 ところで、「分岐点のあるダンジョン」に子どもたちはどう対処するのか?
 実はサマースクールの後半で実際に目にしております。
 遠からずご報告できると思いますので、お待ちください!


 
  • 2011-09-15 15:37
  • ほくろん
  • URL
  • 編集

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://dice4kids.blog57.fc2.com/tb.php/115-8b061a76

トラックバック

Appendix

『冒険王道』ページへ

↓ カテゴリリンク

国府小学校 牛久保小学校 なぜTRPG? 制作の裏側 その他

プロフィール

ほくろん

Author:ほくろん
愛知県内にて青少年育成の指導者・アドバイザーをしつつ、TRPGやボードゲームの作成・普及啓発を行っております。

今となっては遠く離れ、それぞれに凝固している教育とあそびを、少しずつ暖めながら融和させていきます。

管理人がフェイスブックはじめています。
登録名は『冒険王道』の著者名です。
(あくまで個人アカウントですので、ご承知置きください)