fc2ブログ

Entries

サマースクール番外編 初心者プレイヤーの場合

 ほくろんです。

 予告のとおり、今回はサマースクールレポートの番外編をお送りします。

 遊んだのは『冒険王道』の初級。参加してくれたのは、サマースクールで初めてTRPGを経験する3人今年のクラブ員1人
 このブログでも久しぶりのういういしさをお楽しみください!
 
 (なお今回のレポートはGMを勤めてくれたろくとさんにお願いしました!)



今回冒険に参加したのは4人。
 ファイターのピサロ
 ファイターのロースン
 ウィザードのザクロ
 ウィザードのパスカル

GM「あれ? シーフはいないの?」
子どもたち「今日は休み~。冒険できない?」

 職業の組み合わせは役割を分けるために重要。
 ですが、魔術師と戦士の組み合わせならば何とかなるかな、と思い、

GM 「やり方しだいかな。シーフは絶対に必要っていうわけじゃないよ」
子どもたち 「そうなんだ。じゃあ大丈夫だ!」

 

自分が用意したシナリオの導入は、

GM(村長) 「湖から魚がいなくなってしまった、調べてきてくれないか?」
子どもたち 「はーーい!」

 嫌です、というプレイヤーもなく、順調にシナリオに入ることに成功……

 と、思いきや。

GM 「じゃあ湖に向かうため、皆さんが街道を通ると……」
パスカル 「まっすぐ進む!」

  111106_map.jpg

 ……あれ?
 いきなりの想定外の行動、これも小学生のTRPGならでは、とも思うのですが、それは道なき森を進む道。

GM 「こっちを進んでいくの?」
ピサロ&ロースン 『うん!!』
GM 「道がないから大変だと思うけれど、それでもいくの?」
ピサロ&ロースン 『うん!!』

 どうやらピサロとロースンが声も大きいこともあって意見を通しやすい模様。
 メンバーの中では唯一クラブに入っているというザクロが発言少なめになってしまっているのが少しだけ心配ではある。

GM 「では、目の前には道の無い森が広がっています」
子どもたち 『敵探す!』

 RPGの森=敵が出る、というイメージなのかな?

ロースン 「俺と○○(ピサロのプレイヤーの名前)こっち、お前らあっち」
ピサロ 「俺はこっちからこう進むの! それで、背後を警戒する!!」
ロースン 「俺が前で、○○(パスカルのプレイヤーの名前)が後ろな!」
パスカル 「○○じゃなくてパスカル! キャラクターの名前で呼べよ!

 をを、素晴らしい言葉が!!しかし……

GM 「森の中でバラバラになるの?
ロースン 「俺こっち!」
ピサロ 「俺はこっち!」

 自分の質問は無視っすか(笑)

 結果……

GM 「では、お互いの位置が分からなくなりました」
子どもたち 『えーーっ!?』(笑)

 ちゃんと話を聞こうぜ(笑)
 再び出会えるかどうか、判定ルールの説明をかねてダイスをふったんですが、ここでも各々が行動を始めてしまったので……

GM 「では普通なら1時間でいける距離のはずが、遠回りして半日かかってしまいました。湖に到着することには時間はもう夕方です」
子どもたち 『えーーっ!?』(笑)




GM 「夕日がきれいな湖。周りは木がたくさん生えていて、歩いて回ることは難しそうです」

  111106_1.jpg
 岸のこちら側には、特に怪しいものは無い。
 じゃあ向こう側が怪しい、と子どもたちは相談をしているようす。

GM 「どうしますか?」
ロースン 「歩いて湖渡る!
パスカル 「俺も!
ザクロ 「俺こっち(の、歩いてきた森)のほうを見てる!」
ピサロ 「じゃあ俺もこっち」

 湖の中へ進んでいく2人、そして森に入っていってしまう2人……あれ? 別々に行動することの恐ろしさは学んだんじゃなかったのか?(笑)

 ところで、重たい武器をもって湖に入っていく冒険者の運命って……

GM 「これ以上進んで行くと首から上まで水の中に入っちゃいそうだけれど、どうする?」
ロースン&パスカル 『進む!!』
GM 「じゃあ急に足元から感覚がなくなります。二人とも体力で判定をお願いします」

 その結果……

GM 「二人とも溺れました
ロースン&パスカル 『げっ、やばい!』

 一応危ないニュアンスは漂わせてみたのだけれど、甘かったかなぁ……と今では反省してます。
 ともあれ、ちょうど森の中から戻ったピサロとザクロが見たのは、湖の中央で溺れかけている2人の仲間。

ピサロ 「俺が助けに入る!」

 その心意気は素晴らしいのだけれど……

GM 「服はどうする?」
ピサロ 「着たまま入る!
GM 「体力で判定してみて」
ピサロ 「(ころころ)あ、9しかない」
GM 「じゃあピサロも溺れました
ピサロ 「げーーっ!」(笑)
ザクロ 「どうしよう!?」( ← ひとりだけおぼれてない)
パスカル 「もうお前しかいない!」
ロースン 「助けろー!」(笑)
ピサロ 「そうだーっ!」

 えらそうだな、溺れてるやつ(笑)

 一人残されたザクロ。彼は悩んだすえに……

ザクロ 「<見えない力>を使ってみんなを助けます」

 彼の力で全員の救助に成功。
 1回しか使えない<見えない力>、ウィザードの切り札をここで使用するのは勇気が必要だったと思います。何せ敵がどんなモンスターなのかなぜ事件が起こっているのかなんてまったくわかっていない状況ですから(笑)

 泳いでわたるのは難しいとわかり、次に子どもたちはこわれた船に注目。
 しかしこの船には乗れないとわかり、に出た意見は……

パスカル 「いかだを作ろう!」

 というわけで、いかだを作ります。

GM 「どういう分担でつくるの?」
ロースン&ピサロ 『俺、“ちから”ある! “わざ”もある!』
パスカル 「じゃあ俺は頭がいいから……」

 お、役割分担はできているかな?

GM 「木を切る、形を整える、ロープをつかって縛る、それぞれを力、わざ、知力で判定をします。まず、木を切るところから。誰がやる?」
子どもたち 『全員で作る!

 さっきまでの話はどこにいった?(笑)
 い、いやまて自分。“ちから”の作業ならみんなでできる、それは間違ってはいない。

GM 「じゃあ形を整えるのは?」
子どもたち 『全員でやる!

 おーーーーい!(笑)

GM 「器用な人と不器用な人いるから、一部はきれいなのに一部変な風になっちゃったりするかもしれないよ? 大丈夫かな?」
ザクロ 「そっか…どうしよう?」
ロースン 「9!」
ピサロ 「俺12!」
パスカル 「7しかない」

 話を聞け!(笑)

 すべての判定を振りたい、その気持ちが強いようです。
 


 かろうじて浮いているほどのいかだで湖の向こう側の調査に乗り出します。
 相談のすえ、最初に行くのはピサロ&ロースン。
 そう、重たい武器を背負った戦士2人がいかだにのることになり……

GM 「じゃあ、うまく操作できるかは判定してもらおうかな。」

 もうオチも見えたでしょうか(笑)

GM 「湖の真ん中でいかだが分解しました。泳ぎの判定を行ってください」
ロースン&ピサロ(ころころ) 『溺れました』

 お断りしておきます、水中を泳ぐのに重たいもの持ってると危険だよねっていう話はさっき溺れた際にも話しています(笑)
 
 こうなっては、解決方法は1つ。

パスカル 「<見えない力>を使って助けます」

 敵の正体も目的も分からぬまま、<見えない力>を使い切った冒険者たち。
 GMが心配になりはじめたとき、

パスカル 「バラバラになった木は回収していい? あとロープも。」

 お、素晴らしい。状況をしっかり考えてるね。

GM 「もちろん大丈夫ですよ」

 こうして木は回収され、再度切るところからという最悪の事態は避けられました。



 いかだを修理し、再び湖へ。

パスカル 「じゃあ今度は俺とザクロがいかだにのる!」
ロースン 「俺も行きたい!」
ピサロ 「じゃあ俺はこっちに残ってまわりを見てる!」
ロースン 「えーっと、(名前を確認して)…ピサロ、以外の3人で行きます!」

 またそれかい(笑)
 というわけで、なぜかピサロは残ることに。

 今度は順調にいかだを操作し、

GM 「湖の奥へと進むと、向こう岸の木が近付いてくる。でもそれがちょっとおかしい。」
子どもたち 「?」
GM 「船の先がその木に“ちょん”と触れると……」

 バッシャーン!

GM 「と音を立てて、木の『絵』が書かれた板が倒れます。」
子どもたち 『なにそれーーっ!?』(爆笑)

 この反応が見たい一心でシナリオ組みました。

GM 「本当の向こう岸には木でできた小屋が見えます。」
ザクロ&パスカル 『とりあえずピサロを迎えに行きます

 そういって2人が迎えに戻ったのはよかったのですが……

ロースン 「じゃあその間に入り口から入ります!」

 え?

GM 「1人で入るの?」
ロースン 「はい」
GM 「みんなを待たずに入る?」
ロースン 「入ります!

 な、なぜ!? ここで状況も調べずに1人で!?
 想定外の行動にGMも慌てます。

GM 「え、えーと……では扉を開けると、部屋の奥にゴブリンの姿が……」
ロースン 「戦います!

 これまでの警戒心はなんだったのか。分散行動の危険はなんだったのか……。

 モンスターも何もしないわけにはいきません。たった1人でモンスターの小屋に挑戦したロースンに、

GM(オーガ) 「お前のような小さい人間など、すぐにボコボコにしてやるぞ~」

 と部屋に潜んでいたモンスターたちが動き出し、5体のモンスターに囲まれたロースン。
 仲間がたどり着くのは3ターン後ということで……オーガの台詞の通り、

ロースン 「(ころころ)あー、1足りなくてやられた!」

 気絶してしまいます。

 到着した3人も小屋に突入しますが、もともとは4人で戦うはずのモンスター。さすがに不利で……

ピサロ 「(ころころ)うわ、やられた!」
ザクロ 「(ころころ)…だめだ!」

 次々倒されてしまいます。

ピサロ 「でも保存食があるから回復できる!」

 そういうルールはありません(笑)

GM(オーガ) 「降参するか~!?」
パスカル 「はい、降参します!
GM(オーガ) 「お前たちは食ってもまずそうだから、お前たちの持っている物を全部もらっていくぞ!」

 というわけで、武器もアイテムもうばわれてパンツ一丁にされ、湖の向こうにポイっと捨てられてしまいました。

 ……冒険の結果としては、失敗に終わった今回の冒険。
 でもプレイヤーたちも得たものがあった……かな?



 僕が中級メンバーと遊んでいたこと、こんなことが起こっていたんですね。
 ミッションは失敗、プレイも決してじょうずではありませんが、キャラクターの名前で呼んだり、仲間を助ける方法を考えたり、そういう経験を通じてTRPGの楽しさを知ってもらいたいと思います。GMが最初に言った「やり方次第」という言葉の重さが伝わっているといいですね。

 では!





スポンサーサイト



コメント

[C157] まさかの全滅!?

あはは、見事にポイされちゃったんですね。予想もできない行動ばかりなので、GMも大変そうですね。でも、こういうことからどう行動していくかとかを学んでいくんですよね。傾向と対策。
  • 2011-11-07 11:57
  • ビー坊
  • URL
  • 編集

[C158] あわや、でした(笑)

ビー坊さま

 コメントありがとうございます。

 さすがにここまで見事な失敗はそうありませんね(笑)
 現場の雰囲気はとても良かったそうですし、良い部分と面白い部分を残したまま、ステップアップして行ってくれると嬉しいです。
  • 2011-11-07 23:11
  • ほくろん
  • URL
  • 編集

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://dice4kids.blog57.fc2.com/tb.php/122-dd6c7075

トラックバック

Appendix

『冒険王道』ページへ

↓ カテゴリリンク

国府小学校 牛久保小学校 なぜTRPG? 制作の裏側 その他

プロフィール

ほくろん

Author:ほくろん
愛知県内にて青少年育成の指導者・アドバイザーをしつつ、TRPGやボードゲームの作成・普及啓発を行っております。

今となっては遠く離れ、それぞれに凝固している教育とあそびを、少しずつ暖めながら融和させていきます。

管理人がフェイスブックはじめています。
登録名は『冒険王道』の著者名です。
(あくまで個人アカウントですので、ご承知置きください)