さあはじまってしまいました、
分割戦闘!。
あらためてまとめると、
小屋内部:ファイター×2、ウィザード×2
vs
悪魔道師・剣ゴブリン・杖ゴブリン
小屋外部:シーフ×2
vs
剣ゴブリン・弓ゴブリン
だ、だいじょうぶか……?
そんな心配をよそに戦闘は着々と進みます。
「外組」は結構な深手を負いますが、なんとかゴブリンたちを退治することに成功。
対する「中組」が魔術攻撃×2に押され気味……
という展開になりかけたものの、剣ゴブリンを倒してしまえば一気に
制圧ムードに。
考えてみれば、分割戦闘になったおかげで戦いは少人数対少人数に。
おかげで、それぞれに「責任感」というか「参加した! 感」が強く出せたかなー、と思います。
このおかげで以前にポイント4として挙げていた「探索をすばやく!」については、根っこの「戦闘をがっつり!」という目的は達することができました。
これも彼らのアグレッシブな行動のおかげ……かな……?
そんなわけで、戦闘は授業時間を5分残して終了しました。
ということは……?
さーて、ここからが今回のセッション最後の見せ場です!
おさらいは
この記事のポイント5・「村人が野菜をくれる、という申し出にどうするか」。
困窮する村人からなけなしの野菜を差し出されたとき、受け取ればそこで
セッションは終了です。
もし
断ったとしたら、村に伝わる
「古い剣」をゲットすることができます。
さて、彼らはどんな受け答えをするでしょうか?
GM:帰ってきた皆さんを見て、村人たちが駆け寄ってくる。「皆さん! 無事に戻ってこられたということは……?」
シャウ:野菜は半分残ってるよ。
GM:「良かった!」「これで明日からも暮らしていけるぞ!」と喜びの声を上げる村人たち。「本当に、皆さんにはなんとお礼を言ったら良いか……」
スペディオ:よかったね!
GM:「本当にありがとうございます。ぜひ、皆さんにお礼をさせてください」「いや……、しかし何も持っていってもらえるようなものは……」
一同:……
GM:そこで村人のひとりが、「そうだ! 村長、野菜を差し上げましょう。」
スペディオ:でも……
GM:村長は少し考えた後、頷きます。「決して高価なものではありませんが、我々にはこれぐらいしかありませんので……」
ディアノーグ:うーん……。
スペディオ:困ってるんだよね。もらえないよね。
良い子達だなぁ……。
この反応ならフラグを立てて、真・報酬の話をしてあげようかな……?
それともきっぱりと断るのを待とうかな……?
と考えていた、そのときです。
レッドバーン:そうだ。野菜も半分に減っちゃったんだし……
ん?
レッドバーン:この保存食、あげるよ!
え……? 確かに、キャラクターシートの持ち物欄には
「保存食:6食」と書いてあります。これはデフォルトの持ち物なので、最初から
個数まで印刷されています。
レッドバーンは、彼の宣言が終わるのも待たず、その数字を
「保存食:6 5食」に書き換えてしまいました。
シャウ:じゃあ僕も渡す!
ブリードルイ:俺も俺も!
レッドバーンの宣言はあっという間に他のプレイヤーにも波及し、全員のキャラクターシートには
「保存食:6 5食」が並びます。 …………
みんな……
GM:では村長が、こう言います。「そんな、そこまでしていただいて……助けていただいたうえに、大切な食料まで……」
レッドバーン:大丈夫だよ。
GM:「しかし、ここまでしていただいて何もお礼を差し上げないというわけにも……」
さあ、君たちのおかげでここから先を読み上げられるぞ。
GM:「そういえば村長。アレはどうですか?」「ああ……ちょっと皆さん、待っていてくれませんか?」そういって、村人に何かを取りに行かせる村長。
シャウ:なになに?
GM:戻ってきた村人の手には、一本の古い剣。
ディアノーグ:おお!?
GM:「これは村に残された古いものなのですが、我々には使うこともできませんし、売ろうにも相手がおりません。ぜひ持っていってはいただけませんでしょうか?」
ディアノーグ:おおー!
レッドバーン:やったー! その剣、俺の!!
おーい(笑)レッドバーン:だって俺ファイターだもん! 剣持ちたいー。
GM:待て待て(笑)
ブルースター:錆びてるからそのままじゃ使えないんじゃない?
レッドバーン:そっかー。
GM:とりあえずレッドバーンが受け取ったって事で、この剣をどうするかは後で相談しよう。
シャウ:そうしよう。
GM:「皆さんのおかげで明日からも元気に暮らしていけます。お達者で!」そう言う村長さんたちに見送られながら、皆さんは、この村を後にしたのでした……
……ということで、今回のダンジョンはおしまいです。
手弁当で働くどころか
依頼人に持ち物まで差し出すとは……ザ・仕事人である冒険者としては、この先が思いやられます。
しかし、しかし……
僕たちも「野菜、断るかなー?」「いや
難しいんじゃない……?」という予想で臨んだダンジョン。
「フラグ」などと冗談交じりに書いてきましたが、子どもたちの行動はただの条件分岐では計りきれないものでした。
たった一食の保存食、それが6つあったところで村の困窮が救われるわけではありません。しかし、それを差し出すことが、困っている村人たちを勇気付けることになるでしょう。
それは「結果を左右する」以上の影響を、物語世界に与えてくれました。
同時に、セッション参加者にも……です。
TRPGはフィクションです。
全ては架空の話で、本当はそこには何も無いとみんなが分かっている遊びです。
でもその中で交わした会話、その結果として生じた感情は彼ら自身の「反応」であり、
彼ら自身の中にあるものです。それを感じたこと、それに従って行動を起こしたこと……彼らの心に残り、これからも影響を続けてくれると良いと思います。
最後のきっかけを出したのが
あのレッドバーンだというのが、またなんとも心地良いところ(笑)
彼の
「思ったことを口にしちゃう」という素直っぷりが悪いほうに転んだ場面も、たくさんありました。
しかし、そんな彼だからこそ、感じた善意を迷わず表に出せる。
「役に立つか・立たないか」とか「損か得か」という以前に、「じゃあこうしてあげようよ!」と発言し、行動することができたのだと思います。
もちろん、彼らは食料を実際に渡したわけではありません。しかし、「キャラクターシートを書き換えた」のは現実の世界での行動であり、彼らの心と行為の証拠です。
この書き込みこそセッションの「成果」であり、「古い剣」以上に意味のある痕跡となるでしょう。
彼らにとっても、僕たちにとっても。
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感動してしまいました。
もし、自分が同じ状況だったとしても、「保存食をあげたところで足しにはならないしな」なんて考えてしまい、出来なかったあるいはやらなかったと思います。
子供の純粋さに教えられました。