fc2ブログ

Entries

牛小最終回-2 ダンジョン突入!

 盗賊を退治すべく、たどり着いたのは洞窟。
 崖に開いた穴を利用した(と、今さっき決まった)盗賊の隠れ家です。
 その入り口には、1体のゴブリン!

 さあここで好例の「見張りをどうするんだ議論」が始まります。

ウォリーズ:石投げる!
GM:どこに?
ルイス:崖のこっち側(つまり、洞窟から遠いところ)だよ。
GM:またそれかー?
バクラ:良いじゃんとにかく石投げる!

 もはや、何のために石を投げるのかも発言されないまま、「誰が石を投げるか」の議論に突入。
 本来は必要な、「見張りの気をそらすために……」と目的意識が確認されないんですね。
 (もちろん、それは全員が理解した上で話しているわけですが)

 と、ここで

GM:でも石投げたらバレるでしょ。
バクラ:石が落ちるのはこっちなんだから、なんで俺たちの場所がバレるの?
GM:だってどっちから投げたか、ゴブリンだって気づくかもしれないじゃん!

 ……僕が感心して言ってしまったのが前回紹介したこの発言です。

② 「なるほど、確かに投げる方向からバレるね」 
 子どもたちってのはある場面での遊び方を理解すると、しばらくの間は、それを繰り返そうとします。

 (言い方がデリケートなんですが、コンピューターRPGでの「コマンド選択」のように、
  「ある場面では、規定の選択肢がすでに決まっている」
  「それを選べば、自動的にこうなる(過程はすっとばされる)」
  というような意思決定がされているように思えます。
  「(過程はすっとばされる)」というのは、その選択肢が物語世界で具体的にどんな行動なのか……どんな動きで、どんな展開がされるのか……がその都度検討されていないという感じです。)

 この「見張りをどうするんだ議論」もそのひとつ。
 ウォリーズはじめプレイヤーの間では、「見張りがいたら石投げる」が定番パターンになっているようです。

 それに対して、GMの「投げた石の軌跡で居場所がバレるぞ」という趣旨の発言。
 これはすっ飛ばされた「石を投げる」モーションをイメージしていないと不可能です。
 ここに感心して、つい繰り返して言ってしまったという訳です。
 (実はこの発言に対してプレイヤーたちが不満気 =「見つかるはずないよ、バレやしないよ」という意見が出そうだったので、GMの指摘を僕が繰り返すことで浸透をはかったと言う狙いもあります。スムーズなセッション運行のために。)

 ところで、同じ狙い、「状況を想定してほしい」ということで出した発言がこちら。

③ 「見張りはまじめにやってる感じなの?」

 GMにしてもプレイヤーにしても、「見張りがいる」で認識をとめてしまっており、そいつがどんな様子なのか、何をしているのかを共有していませんでした。
 でもそれが無いと、創意ある行動宣言はしにくいだろうな……と思って改めて確認してみました。



 さあセッションに戻りましょう。
 ゴブリンは見張りとはいえ、やる気がなさそうにぐだぐだしているそうです。
 なんやかんやの相談の結果、魔法で遠くに音を立てて、ゴブリンがそちらに行った隙に洞窟に入ることに。

 この作戦は無事に成功し、冒険者たちはついに暗い洞窟の中に入ります。
 (暗いかどうかの演出はありませんでしたが、残り時間的にスル~)

 洞窟に入ると小部屋のように広がっており、先に鍵のかかった扉があります。
 小部屋には無数のタンス。

 洞窟にタンス

 なかなか家庭的な盗賊のようです。

GM:どのタンスから調べる?
ほくろん:(もうタンスを調べるのは規定路線なんだな……)
ウォリーズ:近いところから開けようよ。
ルイス:じゃあ一番近いこのタンス! 開ける!
GM:よし、このタンス開けるんだね?
バクラ:罠とかあるんじゃないの?
GM:さあね~。開けるんだよね?
バクラ:絶対罠だろー!(笑)
ルイス:えー! ちょっとまってー!(笑)
GM:わかんないよ。無いかもしれない。
ウォリーズ:調べたいなぁ。
GM:罠ないかもしれないじゃん。
ルイス:開けるのやめれない?
GM:もう開けるって言ったしね? 心配すんなってー。
バクラ:信用できない! そういうこと言うやつは悪いやつだ!
一同:(爆笑)



 ということで、「確かにそういうこと言うやつは悪いやつだ(笑)」
 いやあ、TRPGってのはプレイヤーとGMがおしゃべりして遊ぶもんだ、ということを再認識させられました。
 物語の内部で起こることをイメージすることも大切だけど、「おしゃべりして楽しい」もやっぱり大切ですね。


 ところで物語に戻りますと、案の定このタンスに罠があり、開けたルイスがダメージ(笑)
 
 ここからさき、さらにGMとプレイヤーの楽しい掛け合いが続くのですが、その様子はまた次回! 

スポンサーサイト



コメント

[C73] はじめまして!

こんにちは!ツイッターで紹介されているのを見て、拝見させて頂きました。すごいっ!子供たちにTRPGを楽しませるだけではなく、想像力とコミュニケーション能力を高めることができるとは…!びっくりしました!

私は障害者福祉生活支援センターで働いていたことがあり、コミュニケーション能力や考える力がどうしても低くなりがちなので、TRPGをなんとかして教えられたら違うだろうに…と思ってました。

オリジナルシステム、是非拝見させて頂きたいです~(^-^) 販売していれば速攻で買うのに…!

[C75] Re: はじめまして!

ゆーさま
 
 こんにちは、ほくろんです。
 ごらんいただいてありがとうございます!

> 子供たちにTRPGを楽しませるだけではなく、想像力とコミュニケーション能力を高めることができるとは…!
 
 できてると良いな……と思いながらやっています(笑)

> 私は障害者福祉生活支援センターで働いていたことがあり、コミュニケーション能力や考える力がどうしても低くなりがちなので、TRPGをなんとかして教えられたら違うだろうに…と思ってました。
 
 なるほど。
 ぜひ、そちらの視点からもコメントなどいただけると嬉しいです。
 
 福祉系や教育系の現場でも「レクリエーション」が娯楽以上の位置を得てると思います。
 そこで会話・役割演技・小計算などを「楽しめる」TRPGは、アクティビティとして独特のポジションになりうると思います。
 ただ、それ用にシステムやセッション運営を調整する必要は感じますが……TRPGって言っても広いですしね。

> オリジナルシステム、是非拝見させて頂きたいです~(^-^) 販売していれば速攻で買うのに…!
 
 現在、「初級」を公開できる状態に調整中です。
 うーん、いつごろになるやら……
 このペースでは、販売なんて遠い夢です(笑)
  • 2010-10-22 23:23
  • ほくろん
  • URL
  • 編集

[C76] 紙魚です。はじめまして

ちょっとコメントへのレスが滞っているようですね。ほくろんも忙しいのでしょう。
けれど、このブログ運営はほくろんの計画によって行われています。自分が勝手に口を挟むことはできませんので、ちょっと雑談を投稿しておきます。何かないかな、と覗きに来られた方、お暇でしたらどうぞ。

来月のクラブのため、「次回はマスターをやりたいな、やろうかな」と思う子どもたちがダンジョンシートを見て下さい、と持って来ます。今日も授業後持って来た子がいました。
依頼人は「こうちょうせんせい」。「まいばん夜中にりかしつがうるさいのでちょうさしてほしい」。ダンジョンシートを見ると、「りかしつ」にいるのは悪魔道士とスライム2体です。フリーハンドでぐるーんと囲まれた「りかしつ」の一角には「わるまどうし(ねてる)」と書いてあります。
「悪魔道士は理科室で何してるの?」
「すごい毒を作っとる」
「……なのに、寝てるの?」
「昨日まで徹夜で毒つくっとったから、今日は疲れてねとる」
なるほどー。思わず納得してしまいました。理科室の一角が壁でぐるーんと適当に仕切られていて、鍵は「スライムAがもっている」と書いてあります。
「”持ってる”の?スライムが?……手、ないよ? 身体の中に入ってるとか?」
「うん。うっすら見える」
しかも、このスライムは「バトルになったらにげる」と書いてあり、逃げる先まで明記してあります。
面白い。”うっすら見える”という表現がとってもいいよ、と激賞しておきます。その後フリーハンドのものすごいダンジョン図を新しいシートに定規を使って書き直してあげます。ちなみに
「ここは道具が入ってる部屋とか? 悪魔道士どうやって寝てるの?」
「机を並べてその上で寝とる」
とのこと。あー……確信を持って書いてくれた図からしても、この魔道士の行動は読めません。
・扉、窓の位置と、覗いたら何が見えるか、入ったら何が起きるかの確認
・鍵のかかっている扉、鍵を手に入れるための条件
を読める字で書き込んでおくように言って「次のマスター頼むね。楽しみだね」と帰しました。
中級で『冒険王道』の世界観を理解すると出てこないシナリオなので、彼の卓が今から本当に楽しみです。身体の中に鍵が見え、しかも戦闘になると逃げてしまうスライムをどうするか。この部分だけでクラブ1回分は十分楽しめると思います。

……これも”仕事”なんですよ。素敵でしょう?
  • 2010-10-22 23:33
  • 紙魚
  • URL
  • 編集

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://dice4kids.blog57.fc2.com/tb.php/62-282727d2

トラックバック

Appendix

『冒険王道』ページへ

↓ カテゴリリンク

国府小学校 牛久保小学校 なぜTRPG? 制作の裏側 その他

プロフィール

ほくろん

Author:ほくろん
愛知県内にて青少年育成の指導者・アドバイザーをしつつ、TRPGやボードゲームの作成・普及啓発を行っております。

今となっては遠く離れ、それぞれに凝固している教育とあそびを、少しずつ暖めながら融和させていきます。

管理人がフェイスブックはじめています。
登録名は『冒険王道』の著者名です。
(あくまで個人アカウントですので、ご承知置きください)