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牛小最終回-3 その後……

 次々とタンスを開けていPCたち。

GM:タンスから小さな箱が2つ出てきた。
ルイス:罠を調べる! 罠!

 罠探知の判定はなかなかの結果。
 これでわなの有無がわかるぞ!
 
 と思いきや……

GM:えーっと、うーん……(シナリオシートとにらめっこ)
バクラ:どうなんだよー、罠あるのかよ!
GM:(かんがえている)
ほくろん:(どうした…?)
GM:じゃあ、罠がある。
ルイス:罠があるのかー。
GM:うん、この箱のどっちかに罠がある。
ウォリーズ:どっちかはわからないの?
GM:分からない。とにかく、どっちかに罠がある。さあどっちをあける?

 それがやりたかったのかっ!
 つまり、「どっちを開けよう?」というやりとりで盛り上げてやろうという魂胆なわけですね。プレイヤーの反応をはっきり想定していると言う点で、シナリオギミックとしては優れています。

 ……「片方に罠がある」なんて情報が、いったいどういう経緯で手に入ったのか分かりませんが(笑)
  物語内部の描写としては難がありますが、とにかく二者択一を迫られた冒険者たちは……

ルイス:どうする?
ウォリーズ:右! 右!
バクラ:右で良いのかよー!

 と子どもたちは楽しんでいる様子。

 ……良いですねぇ。

 子どもたちの遊び方を見ていると、「物語の成立」とか「無矛盾性」よりも、「みんなで遊んでいるのが楽しい」というのを感じます。
 ほほえましく思いつつ、またTRPGの楽しさの根源のひとつを再確認しつつ、「それらを両立させる」というステップにどう導いてあげれば良いか……と思案するところでもあります。
 
 ところで、結果的に右を選んだ冒険者たちはわなの餌食となり、代表のルイスがダメージ。
 代表の選び方は残りHP……ではなく、じゃんけん。こういうのを見ると、ほほえましく思いつつ、またTRPGの……
 うーん、最終回での彼らの成長を見ると、感傷的になってしまいますね。
 (ところでこのGM、「プレイヤーが選んだほうが罠」なんて高度かつこしゃくな設定をしてたのかな……)



 さて、タンスを開け尽くした冒険者たち(と書くとどっちが盗賊なのか分かりませんが……)はついに奥の扉を開きます。
 その先に待ち構えていたのは盗賊とその手下。

 さあ、最終戦闘の始まりですが、時間はあと5分しかありません!
 カンペでGMにだけこっそり伝えつつ、戦闘の開始です。

ウォリーズ:攻撃!(ころころ)
GM:かすった!
バクラ:攻撃ー!(ころころ)
GM:うわ、それは……深くかすった!
ルイス:(ころころ)
GM:それはね……
ルイス:深くかすった? 深くかすった?
GM:普通! 普通にかすった!

 「かすった」ってなんなんだ(笑) とか、

GM:盗賊がルイスを攻撃! 弓術の13!
ルイス:(ころころ)完全にとめた! こうやって目の前で矢を手でつかんで、それで……(と身振りを交えて演出)

 なんてしていたら、次のターンに

GM:盗賊がまたルイスを攻撃したよ。
ルイス:(ころころ)また矢をつかんだ! ぴしっ!
バクラ:ん? それ計算間違ってない?
GM:攻撃は13だけど。
ルイス:あーっ、1点食らってる! つかみきれてなかったー!?(笑)
ウォリーズ:ははは、矢を止めたと思ったら……
ルイス:手をすり抜けてバキって(笑)

 なんて、僕たちが遊んでいるのと代わらないような様子です。
 もうすっかりTRPGプレイヤーですね。 

 さて、そんなときに時間切れ。今回も最後までは出来ませんでしたが、十分、彼らだけでもセッションが運営できるようになりました。

 この続きは、みんな家で遊んでくれよ。

 そう彼らに話しつつ、『冒険王道』中級を配布したのでした。


 そんなところで、今回の報告はおしまいです。
 (いつもよりも時間がかかってしまってすみませんでした)
 次回は、最終回で気づいたことを少しまとめながら、後期の活動の紹介をはじめたいな~と思っています。
 
 では! 



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コメント

[C77] むずかしいなぁ

TRPGの黄金ルール【GMの判断は全てのルールより優先される】と
TRPG勝利条件【参加者全員が楽しむ事】が満たされたセッションですね。

でも、もし私がその場にいたら矛盾を解消しようとして口出しし、
子供たちが楽しめなくなっている(&遊ぶ気が失せてしまう)気がします。
実質的に間違いでも、理屈としては口出しする方が正しく思える。
だから、ついつい黄金ルールや勝利条件を忘れてしまいそう。
子供と大人混合のセッションをするとなると、色々と難しそうだなぁ。
いい教訓になりそうな記事ですね。

[C78] Re: むずかしいなぁ

白い北風さま

 コメントありがとうございます(お返事遅れてすみません!)

> TRPGの黄金ルール【GMの判断は全てのルールより優先される】と
> TRPG勝利条件【参加者全員が楽しむ事】が満たされたセッションですね。

 ありがとうございます。彼らに伝えてあげたいです(笑)

> でも、もし私がその場にいたら矛盾を解消しようとして口出しし、
> 子供たちが楽しめなくなっている(&遊ぶ気が失せてしまう)気がします。
> 実質的に間違いでも、理屈としては口出しする方が正しく思える。
 
 プレイについて、大人が補正するのは「間違い」とは思いません。僕も状況によっては口だしていると思います(やっぱり、物語性と場の雰囲気とを両立してもらいたいと思いますしね)。
 今回の場合は、
  「半年でここまでできていれば上出来ですな。」
  「セッション運営に慣れれば、そのうち自分たちで気づくかな?」
 というゆるーい目測あっての許容……という感じです。
 (「最終回」って言う感傷もあるかもしれません(笑))

> 子供と大人混合のセッションをするとなると、色々と難しそうだなぁ。

 セッションの目的をどこに置くか、だと思います。
 その1時間を楽しんでもらうのか、セッションを自律する能力を育成したいのか、広く想像力や会話力の涵養を計りたいのか……我々の活動についても、この点は混然としているところです。

  • 2010-10-30 19:58
  • ほくろん
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プロフィール

ほくろん

Author:ほくろん
愛知県内にて青少年育成の指導者・アドバイザーをしつつ、TRPGやボードゲームの作成・普及啓発を行っております。

今となっては遠く離れ、それぞれに凝固している教育とあそびを、少しずつ暖めながら融和させていきます。

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