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サマースクール2011 1日目 長い長い冒険の始まり

 サマースクールから1週間がたちまして……そろそろと報告を始めたいな、と思います。

 5日分のセッション、しかも各回の実施時間は2時間。通常のクラブ活動にして10か月分に相当するセッション更新をすると思うと、長い目で見守っていただきたいと言うほかありません。

 今年度のサマースクールに参加してくれたのは総勢20名弱。
 なかなかの規模に思えますが、毎日全員が来るわけではありません。他の講座とのかけもちだったり、個人の用事があったり、出たり入ったりで1日あたりでは10名程度。各日2~3卓を立てて遊びます。

 僕が担当したのは「中級卓」と名づけられたチーム。このチームは5日のあいだ、メンバーがほぼ固定で遊ぶことが出来る贅沢な卓です。しかも扱うルールは『冒険王道 中級』。子どもたちとしては、楽しみで仕方がないようす。
 しかし! その代償として、このメンバーにはひとつの課題があります。それは、中級のデータと世界観を使ったキャンペーンをすること、です。

 キャンペーンというのは「続きもののお話を遊ぶ一連のセッション」のこと。1日ごとにひとつのシナリオになっているのですが、つなげてみると大きな物語になっているような遊び方です。

 この卓に挑戦するのは昨年度クラブ生2名(『中級(ベータ)』所持)に加えて今年度クラブに在籍中の3人。「5日間参加できる」という条件で仮免許を発行しての参加です。

 さて、この5人にキャラクターメイクをしてもらった結果は……

  デニスマグナス
  職業:ファイター
  武器:ブロードソード

  バスター
  職業:シーフ
  武器:ダガー

  スペディオ
  職業:ウィザード
  武器:魔道書

  ライボルト
  職業:ローグ
  武器:へヴィアックス

  ゼロ
  職業:レンジャー
  武器:ロングスピア



 おっと、聞きなれない職業がありますね。「ローグ」「レンジャー」、これらは中級で追加される新職業です!

 ローグ:村の荒くれもの。ファイターのような技術はありませんが、タフさと攻撃力はピカイチです。
 レンジャー:アウトドア生活の達人。自然にあるものを拝借して薬や補助アイテムを自作できます。

 実は中級になり、追加データ(職業・アイテム・武器など)が増えただけでなく、ルールもいくつか追加されています。
 今回の報告ではそのあたりも触れながら進めていきましょう!



 5人は「デイジー(参加者命名)」という名の小さな村に住む若者。
 冒険の旅に出ることを夢見ながら、村の困りごとを解決したり、モンスターを追い払ったりしている。
 ある朝、彼らは村長さんから呼び出された。ずいぶん急な用事だという。

村長:みんな、よく来てくれた。実は急いで解決してもらいたいことがあるのじゃ。
ゼロ:なに?
村長:昨日の夜、神官会所にある倉庫から、大切なものが盗まれてしまったのじゃ。

 そういいながらGM(初回は僕です)が村のマップを提示します。

 vilmap_s.jpg

GM:ここの、神官会所のとなりにある小屋ね。
バスター:すぐに取り返そう!
スペディオ:うーん、敵は盗賊かな?(モンスターを予測している)
村長:今回は重要な仕事じゃ。解決してくれたら、ひとり100Gをお礼として渡そう。

 中級からは「お金」の要素が追加されます。単位はG(ゴルト)。
 依頼解決のたびに報酬をもらえるだけでなく、報酬額をめぐって交渉をしたり、手に入れたお金でアイテムを買ったりもできます。 

村長:今までの頼みごとよりもやっかいな事件じゃぞ。なにせ、どこに持ち去られたのかも分からない。盗んだ犯人を見つけて、盗まれたものを取り戻してほしいんだが、みんなに頼めるかな?
ゼロ:「もちろんさ!」
ライボルト:やるやる!
デニス:やだねーっ
バスター:えー。やらなかったらお金もらえないよ?
デニス:やだ! やる! やるやる! 死んでもやる!
バスター:死んだらお金もらえないよ!(笑)

 がやがやと依頼を受けることが決まり、さっそく村の地図を見ながら相談するメンバー。

 ところで、みなさんならどうやって探しますか?
 例えば、現場検証をする、聞き込みをする、そもそもなにが盗まれたのかを村長さんに聞く……

 そう、実はまだそれを言ってません。誰か聞くかな? と子どもたちを試したのですが……今のところその様子はありません。
 普段のクラブとは違い、ここで「何が盗まれたか聞いとく?」なんて誘導はしません。なんせここは中級卓(一部仮免)ですから、解決にはどんな情報が必要かも自分たちで考えてもらいましょう。
 
 閑話休題、子どもたちの相談の様子は……

デニス:洞窟だ! モンスターは洞窟にいるに決まってるよ!
ライボルト:果樹園が怪しいなぁ。
スペディオ:荒野のほうに行ってみよう!

 と当てずっぽうで敵の居場所を当てようとするプレイヤーたち。
 「手に入りそうな情報から推理する……」なんていうそぶりは微塵もみせず、この当てずっぽう大会が5分にわたって繰り広げられます。
 (初級卓ならひとこと介入するところですが、なんせここは中級……)

バスター:ねえねえ、足跡は? 足跡を調べてみようよ!
GM:(お、情報を集め始めた。いいぞいいぞ)どこの?
バスター:……犯行現場ってどこだっけ?

 5分で忘れるな!(笑)
 改めて倉庫の位置を確認し、倉庫の北側の森の足跡を探ってみる、シーフのバスター。
 「洞窟に持ち去られたのでは!?」という仮説が優勢だったようですが、足跡は見つかりませんでした。

デニス:洞窟じゃないのかな……
スペディオ:ついでだから倉庫の中を見てみよう!

 やっと始まりました、現場検証。
 倉庫の中は荒らされた様子はなく……

GM:整然と並べられた棚から箱がひとつ持ち出された形跡があるね。他に荒らされた形跡はない。
スペディオ:人間の仕業だな! やっぱり盗賊だ!
ゼロ:箱かー。箱の中身はなんだろうね?
GM:(お、聞いてみるか?)
ライボルト:なんだろうね?
ゼロ:なんだろうねぇ。

 もう意地でも誘導してやんない(笑)

バスター:今度は広場の足跡を探してみる!
ゼロ:でもさ、広場は人通りが多いから足跡探すのは難しいんじゃない?
スペディオ:じゃあどうしよう?
デニス:やっぱり洞窟だって!

 その仮説はさっき否定されただろ!
 と言いたいのをぐっとこらえているうちに、再び当てずっぽう大会。
その結果は……

GM:どうするの?
スペディオ:僕は森の中の小屋に行くね。
ライボルト:俺は果樹園!
バスター:街道のほう見てくる。
ゼロ:荒野に立ってる小屋にしよう。
デニス:ため池いく!

 分散しやがったー!

 しかもデニスは洞窟行かないし。

 単独行動をとってまでそれぞれの当てずっぽうを譲れなかったパーティーメンバー、彼らを待ち受けているものとは!?



 と、ここで裏話。
 今回のシナリオは「初級とは違うぞ!」ということを味あわせるために、「モンスターがどこにいるかを調査する」ことに重きを置いていました。本来は足跡などの証拠に加え、村人たちの証言を組み合わせると居場所が分かる仕組みになっていたのです。

 考えてみれば、「聞き込み」という行動は出にくいかもしれませんね。今まであまり経験がないからこそ、中級一発目で挑戦させたかったのですが……まあアドベンチャー系のゲームとか、あるいは刑事モノドラマを知らなければ調査方法なんて知らないもんですね。
 
 そんな反省をプレイ中にしつつ、GMはここから強引な路線転換を狙います。

 そのようすは、次の機会に!
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Author:ほくろん
愛知県内にて青少年育成の指導者・アドバイザーをしつつ、TRPGやボードゲームの作成・普及啓発を行っております。

今となっては遠く離れ、それぞれに凝固している教育とあそびを、少しずつ暖めながら融和させていきます。

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