ゼロ:アイテムとか買えないの?
GM:そう! 新しいまちにこれば、新しいアイテムがあるぞ。もちろん新しい武器も。
バスター:やったー! 見せてー!
GM:その前に、ここで手に入る武器はまだみんなでは使えない。
デニス:えー!
GM:使うために、先にレベルアップだ!
彼に連れられて神殿に移動すると、ものものしい顔で神官が待ち構えていた。GM:では買い物の翌日。古文書を届けてから、2日が経ちました。皆さんが泊まっている宿屋に一人の男性がやってきて、皆さんを呼びます。
デニス:誰だ!?
GM:「神殿からの使いのものなんですが、デイジー村の冒険者の皆さんですよね?」
バスター:「そうだよ」
GM:「神官が皆さんをお呼びです。一緒にいらしてください。」
含みのある表現には反応が鋭いスペディオ。GM:「おお、きてくれたか。古文書を届ける任務はご苦労じゃった。」
スペディオ:どうかしたんですか?
ゼロ:もしかして古文書盗まれた!?
GM:「いや、まだ盗まれてはおらんよ」
スペディオ:”まだ”……?
エオーラのまちは市壁に囲まれ、人間の出入りは基本的にチェックされている。GM:「そうじゃ。実は昨日の夜、神殿の周りで怪しい男を見たという話があるのじゃ。ちょうど君たちが届けてくれてすぐの事件じゃからな。何か関係があるといかんと思って呼んだのじゃ。」
デニス:こないだの盗賊でしょ!
GM:「あやつはしっかり罰を受けておる。今日も神殿周りの掃除じゃ(笑) やつではないし、実はエオーラのまちに怪しい人物が入ったという話も無いのじゃ。というのも……」
恒例の値段交渉のすえ、お値段据え置きで依頼を受けた一行。GM:そこでじゃ。その人物の正体を突き止めて、捕まえてきてはくれんか?」
バスター:報酬は!?
GM:「もちろん用意しよう。ひとり120Gじゃ。」
と、デニスがいつもの当てずっぽうを発揮したところで……GM:はい、これがエオーラのまちです。
バスター:怪しい人はどこにいたの?
GM:「神殿の入り口から、周りをぐるっと見ようとしていたらしいぞ」
スペディオ:怪しい……
デニス:まちの壁を乗り越えて入ったんでしょ。
GM:「警備がおるからの。その目を盗んで入るのは困難じゃ。」
バスター:でも他に無いよねぇ。
デニス:いいじゃん、壁見に行こうよ! 壁!
ゼロ:どこの壁?
デニス:じゃあ、こっち(西側)の壁!
ということでここは2手に分かれての情報収集。スペディオ:先に怪しい男のことを聞いたほうがいいんじゃない?
デニス:なんで?
スペディオ:神殿以外で怪しい人を見たかもしれない。
バスター:誰に聞く?
スペディオ:お店の人とかに聞いてみる?
門番の話では……GM:デニスとゼロは西の門の近くまで来た。他のまちからくる旅人が門でチェックを受けてます。
デニス:壁は? よじ登れそう?
GM:道具をそろえればやれるかもしれないねぇ。
スペディオ:門番に聞いてみたら?
バスター:スペディオ、そこにいないよ。
スペディオ:そうだった! 聞いてないフリして(笑)
GM:どうするのー?
ゼロ:じゃあ門番に話を聞く(笑)
GM:「はっはっは、そりゃ絶対無いとは言い切れないぜ。でも夜も警備をしてるし、なにより壁を登ったら跡が残るからな。見落とすってことは無いぜ」
デニス:そうか……
ゼロ:ここじゃなさそうってことかな。
GM:お店で聞き込みするのは、スペディオとバスターね。まちの大通りは、両側にお店が立ち並び、たくさんの人であふれています。
スペディオ:神殿に近いほうの人に聞いてみよう。
バスター:「怪しい人見ませんでしたかー?」
GM:じゃあそこは八百屋、答えるのは店のおばちゃん(笑) 「怪しい人ねぇ……あんたらみたいなのはいっぱいいるけどね」
スペディオ:「僕たちは怪しくありません!」(笑)
GM:「あたしらからしたら同じようなもんよ(笑)」と話していると、お店で買い物してた人が。「そういえば、うちの周りを変な人がうろついているってうわさ、あったわよ。」
バスター:「どこですか?」
GM:「うちはこっち(南西)にあるんだけど、普段はよその人は入ってこないの」そのへんは住宅街だから、冒険者とかは行かないってことね。
スペディオ:「いつごろから?」
GM:「2~3日前からかしら?」
スペディオ:それかも! 「ありがとうございました!」
この間の……デニス:ねえねえ!
GM:どうした?
デニス:このまちのことなら、こないだの盗賊が知ってるんじゃないの?
GM:盗賊君は、罰として神殿の掃除中。今も神殿の周りにいるんじゃないかな?
ゼロ:話してみようか。
デニス:よっしゃ! おい盗賊!
いぶかしく思いながらも、これは貴重な手がかりがつかめるかもしれない。GM:えー盗賊君は、ほうきで神殿前を掃いています(笑) 「あ! お久しぶりっす!」
デニス:おい盗賊! 怪しい人を知らないか!
GM:「え、俺のことっすか?」(笑)
ゼロ:「神殿の周りで怪しい人がいたらしいんだけど、何か知らない?」
GM:「そうですね~……」としばらく悩んだ後。「……手がかりを知ってそうな人なら紹介できるかもしれません」
デニス:なに?
GM:「……ちょっとこっち来てください」と、道の端っこに呼ばれ、周りの様子を伺いながらしゃべります。「実は、このまちには裏の人間が集まる酒場があるんでして。」
ゼロ:どこに?
GM:「場所は、その……案内します。そこにいけば、裏の事情に詳しい人がいますんで……」
ゼロ:うーん。どうする?
デニス:悪い人たちが集まってる場所なんだよね?
GM:「まあ悪い人って言うか、アレですな。俺みたいなやつの溜まり場ですんで。」
デニス:いやー、それは……
ゼロ:とりあえず行ってみようよ。どんな場所かもわかんないし。
珍しく控えめなデニスと、冷静なゼロ。GM:中はこざっぱりした、いたって普通の酒場だ。盗賊は「ちょっと待っててくだせぇ」といって、奥にいる屈強な男に声をかける。
デニス:え、どうしよう? 入り口で待ってる?
ゼロ:待ってるほうがいいでしょ。
と、ノリノリで演出しながらマップを書くGM。GM:葉巻だろうか、何かの煙が流れ出てくる。部屋の中は煙でいっぱいで、いくつかの丸テーブルの上につるされたランプの明かりだけが照らしている。もちろん、部屋の隅までは明かりは届いておらず、全体的に薄暗い。
GM:で、盗賊が奥のテーブルに座っている男にぺこぺこと挨拶をしている。「みなさん、この方がここのボスです」
ゼロ:話、してみる?
デニス:うん。「怪しい男を捜してるんですけど」
GM:「怪しい男ねぇ……ここには怪しいやつらばっかりだよなぁ?」そういうと、周りの机にいたほかの男たちがへへへっと笑う。
デニス:「やっぱりお前らかっ?」
GM:「何の話かわかんねぇな?。」
スペディオ:怪しい。
GM:待て、本当に何の話かわからん(笑)
バスター:ねえ、スペディオここにいないって(爆笑)
ゼロ:「神殿の周りで何かしていたらしいんですけど」
GM:「お前ら神殿の依頼で動いてんのか。そんなやつが俺たちの店に来るなんてなぁ」といって盗賊の方をにらんでいる。ヘコヘコする盗賊君(笑)
デニス:ねえ、知らないならもう出ようよ。
GM:「はん? 知らないって俺が言ったか?」
ゼロ:「じゃあ教えてください」
GM:「まあ教えても良いが、ひとつだけ条件がある。」
デニス:「なんですか?」
GM:「この店のこと、俺たちから情報をもらったってこと、神殿には言うんじゃねぇ。バレるといろいろ厄介だからな。」
デニス:「やっぱり! 悪いことしてるから言えないんだろ!」
GM:「悪いこと? そりゃ“怪しいやつら”の集まりだからよ。」といってにやにやしているぞ
これが思いついたぎりぎり許されそうな悪いことでした。デニス:どうする?
ゼロ:話を聞いてみようよ。
デニス:でも悪い人だよ?
ゼロ:どのくらい悪いかわかんないよ。
デニス:じゃあどのくらい悪いか、聞いてみればいいじゃん!
GM:(えっ、本人に!?)
デニス:「悪いことって何してるんですか?」
GM:(そろそろあせり始めている)「いや、そりゃ言えねぇけどよ、いろいろあんだよ。運んじゃいけねぇもん運んだりよ。」
YESと答えれば情報収集がどん詰まり。デニス:「じゃあ、人を襲ったりする?」
GM:(うーん……)「ま、人様の命を奪うようなことはしてねぇ。」
デニス:じゃあ物を盗んだりはする?
GM:(えー……)「ははは、少なくとも町ん中で泥棒したりはしねぇさ。」
思ったよりもローフルなプレイヤーだったデニス。デニス:えー、どうしよう!?
ゼロ:いいじゃん、話聞くだけなんだから。
デニス:でも悪い人なんでしょ!? 神官さんから怒られるよ!
まさかココまで倫理的な判断で議論になるとは思いませんでした。スペディオ:うーん、後から協力してもらったのがバレるとなぁ……
ゼロ:バレないでしょ。話さなければいいんだから。
スペディオ:でもさ、「ほう、どこでこの情報を手に入れたのかな?」って言われたらどうすんの?
デニス:ほら、やっぱり怒られるよー。
バスター:聞かれたらさ、ここのこともしゃべっちゃえばいいじゃん。
スペディオ:そうしたら酒場のボスに狙われるんじゃない?
デニス:絶対絶対狙われる! 危ない!
バスター:そこまでするかなぁ。
ゼロ:しゃべんなくても良いって。どのくらい悪いのかもわかんないし。
デニス:だからさ、聞いてみようよ。ね、そんなに悪くはないんだよね?
GM:「そうだなぁ(ニヤニヤ)」
デニス:なんだよーっ(爆笑)
なによりリスクの分析から入るスペディオ。ゼロ:大丈夫だって、うまくやればバレない。
バスター:ここで話を聞ければ依頼クリアだね。
スペディオ:でもさ、本当に情報持ってるのかな?
バスター:あ、そっか! まだ分かんないね。
ゼロ:でも聞くだけなら損はないよ。
デニス:ね、思いついた! 先に神官さんに聞けば良いじゃん!
ゼロ:何を?
デニス:悪いやつに協力してもらっても良いかって!
ゼロ:いやいや、良いとは言わないだろ(笑)
スペディオ:それに、話したら結局は酒場のボスが怒るでしょ。
デニス:そうだ! 危ない!(笑)
子どもたちに投げかける課題の適切さについて反省をしつつ(けっこうマジ反省です)、悩みながらも満足げに議論する彼らを見て胸を撫で下ろします。一同:(がやがや ←「どう神官さんに話せば”嘘をついた”ことにならないか」を相談している)
プレイヤーたちの答えは―!?GM:「さ、どうすんだ? 情報は欲しいのか?」
コメントの投稿