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サマースクール2011 4日目後編

 大きなまち・エオーラで目撃された不審人物。
 冒険者見習い一行は、自分たちが神殿に届けた古文書が狙われている(かもしれない)と聞き、事件解決を引き受けます。
 「蛇の道は蛇」と馴染みの盗賊に声をかけると、情報源としてまちの裏社会のボスを紹介されてしまい――?


 すっかりドツボにはまった感のあるメンバー。
 あらためて論点を整理してみると……

? (推定)悪人から情報をもらっていいのか?
? それを神官に報告するべきか?


 まずは?、情報をもらうかどうか、ですが……

GM:「どうする?」
ゼロ:話を聞こう。
デニス:でも神官さんにどう言うの。
ゼロ:それは、あとで考えよう
スペディオ:じゃあ、聞く!  話を聞く!
GM:「よし。じゃあ話してやろう。実はな……」

 エオーラのまちにいる盗賊連中は、この酒場に顔を出すのが「通例」となっている。
 しかしここ数日、無断でコソコソと動き回っている連中がいるという。

ゼロ:場所は?
GM:「ああ。手下に後を付けさせてみたらな、ある空き家に入っていったんだよ。場所は……」

   110915_5.jpg

GM:「ま、あとは頼んだぜ。俺たちの目が届かないところで悪さをするやつは、危なっかしくてしょうがねぇ。」
デニス:自分たちだって悪いんでしょ!
GM:「そうだな。だが誰かがまとめてやらねぇと、歯止めが利かなくなっちまうのさ。」
デニス:うーん……
スペディオ:とにかく急ごう。「ありがとうございました!」

 こうして辛くも隠れ家をつきとめた一行。
 さっそく空き家へと向かいます。

GM:空き家らしく、物音は聞こえないね。
バスター:モンスターの足跡は?
ゼロ:モンスターはいないんじゃない?(笑)
GM:一応ダイスを振ってみるかい?

 バスターが判定をすると……

GM:モンスターの足跡はない。でも、誰かの靴跡はあるよ。
スペディオ:空き家なのに?
ゼロ:なるほどー。窓はある?

 窓から覗いてみると、人影は見当たりません。

バスター:今はいないのかなあ。
デニス:えー、入ってみればいいじゃん!

 デニスにうながされ、空き家へと踏み込むと……
   110915_6.jpg
 やはり無人。
 ホコリが積もっている様子から、しばらく使われていなかったのが分かります。

ゼロ:この丸いのはなに?(右下の丸を指差す)
GM:樽です。

 あらためて見るとこのマップ、スケール感がぐちゃぐちゃですね……。

バスター:足跡は?
GM:うーん、改めて判定しようか。
バスター:(ころころ)12!
GM:では、ホコリが積もっている場所と積もっていない場所があります。
スペディオ:積もってないのはどのへん?
GM:このへん。

   110915_6_2.jpg

スペディオ:怪しい……
デニス:その四角なに?
GM:カーペットみたいなものかな。
デニス:めくればいいじゃん!
バスター:めくる!
GM:では、その下には……なんと、床下から地下へと続く穴が隠されていました!

 後半、ダンジョンです



 ダンジョンといえば隊列。いつものとおりモメたあげく、

  バスター(シーフ)
  デニス (ファイター)
  スペディオ(ウィザード)
  ゼロ  (ファイター)
 
 セオリーに忠実な隊列! 彼らもすっかり冒険者らしく……
 ……すんません、ちょっとアドバイスしました。

 やっぱりシーフが先頭にいたほうが、罠探しとかに有利だし……

ゼロ:ねえ、樽転がしていったら? 罠引っかかってくれるかもしれない!
デニス:そうしよう!

 こういうところは知恵が回るもんですね。

 さて、件の穴は斜め下に向かって続いています。
 どうやら地面が掘られているようですが、一体誰がどうやって……?

 そんな疑問をもつ気配もなく、ずんずんと樽を転がして進みます。

 すると……

   110915_11.jpg

 ダンジョンといえば、やっぱり分かれ道
 考えてみると、分かれ道のあるダンジョンってクラブ初かもしれません。
 
 さあ、彼らはどうやって道を選ぶでしょうか!?

デニス:いきたい!
スペディオ:じゃあ僕は右に行くね。

 ん?

ゼロ:俺も右。
バスター:僕左ー。

 分散した……

 これがどれだけ危険なことかお分かりでしょうか?

  もし、モンスターと出会ったら? 
  もし、シーフがいないほうのルートに罠やカギがあったら?

 ダンジョンアタックでは基本的に避けるべき行動です。
 しかし、そこまでアドバイスしてしまっては面白くない
 ここはあえてスルーして、痛い目を見ていただきましょう。

■ 右に行った組

ゼロ:樽転がしてく。
GM:じゃあその樽がゴン! と壁にぶつかる。曲がり角のようだ。
スペディオ:その先は?
GM:その先はこう道が続いていて……と、そのとき! 左の道から大きな声が聞こえます!
デニス:こっちー!?(笑)
GM:交代!


■ 左に行った組

デニス:なになに!?
GM:声がするのはもうちょっとあとね。しばらく進んだところで……感覚の判定!

 ここでは2人ともダイスがふるわず……

GM:では、ちょうど広い空洞に出た……と思ったところで! 左右から何者かに襲われます! 
バスター:うわーっ!
GM:あ、じゃあその声が向こう側に聞こえた(笑) 戦闘!

 と、不意を打たれての戦闘スタート。
 相手は山賊2体。レベルアップした彼らにはザコなんですが、気がかりなのは右に行っていた組のようです。

スペディオ:僕たちは?
GM:声を聞いてから、こっちに来ることはできるよ。移動に2ターンかかるけど。
ゼロ:えーっ!(笑)
GM:2手に分かれちゃったから、こういうことになるんだね。

 戦闘に2ターン遅れるって、子どもたちにとってはけっこうな「痛い目」
 これで戦闘が苦戦してくれればなお良し、だったのですが……

GM:……あ、山賊やられちゃった。
デニス:なんだよ、1ターンじゃん(笑)
GM:ちょうど決着が付いた頃に、2人も合流だね。
スペディオ:ちぇっ、間に合わなかった。
ゼロ:山賊たちは?
GM:部屋の隅っこで気絶してます。
スペディオ:話を聞いてみよう!

 手も足も出なかったとあっては、ぺらぺらしゃべるしかない山賊さん。
 頭からの命令で、エオーラのまちに入り、神殿周辺の地図を手に入れようとしていたそうです。
 なぜそうするのかは知らない、と言いますが……

GM:「頭なら、まだ奥にいると思いますぜ。」
スペディオ:右の道だな!
バスター:はやく行っちゃおう!
GM:あ……

 「なんであんたらを不意打ちできたかって? そりゃあ樽が転がってくる音があんなに大きいんじゃねぇ!」

 その台詞を聞くことも無く、先に進んでいった一行でした。



 右のコースを奥に進むと……
   110915_14.jpg

スペディオ:また分かれ道だよ。
デニス:左!
ゼロ:なんで?
デニス:さっきは右が正解だったじゃん!
スペディオ:わかんないよ。今度も右が正解かもしれないし。
デニス:えー、左行こう左! 左で良い?
ゼロ:良いよ。
スペディオ:じゃあ僕は右行く。
バスター:僕も。


 お、同じ過ちを……っ!


■ 右に行った組

GM:右の通路は、緩やかな登り。歩いていくと……

   110915_15.jpg

スペディオ:この穴は?
GM:どうやら外に繋がっているみたいですね。
バスター:逃げられたかな?
スペディオ:いや、向こう側が正解だったかも……


■ 左に行った組

GM:じゃあ左。しばらく行くと、道がわずかにカーブして……

   110915_16.jpg

GM:「貴様ら何者だ!」
デニス:お前がボスかーっ!
GM:「ええい、うるさい! お前らやっちまいな!」戦闘開始です!
バスター:……僕たちは?
GM:さっきと同じ。2ターン休み。
スペディオ:またーっ!?
GM:同じ事をするからだ!(爆笑)

 さあ、今回登場したモンスターはこちら。

  山賊の頭 :おなじみ、初級ではボス格のモンスター。今回の黒幕です。
  オーガ  :同じく、初級ではボス扱いのオーガさん。
  スネーク :魔術攻撃要因として駆りだされた、初級のザコ。
  ルカオン :中級で追加される新モンスター。
        小型の狼のような外見で、地中に巣穴を掘って生活する。

 なんと! 穴を掘るモンスターを使役して、町への侵入路を作ったのでした!
 (穴を掘るのはいいとして、どうやって空き家の真下のアタリをつけたのでしょうか。もっとかんたんな方法は無かったのでしょうか。こうして振り返ると自分もいい反省になります。)

 ……微妙に話を逸らしているのでお気づきかもしれませんが、今回も戦闘はスキップでございます。あしからず……



 さて戦闘を終えて、今回の親玉である山賊の頭から事情聴取をする一行です。

バスター:お前が犯人かー!
GM:「ま、待て、俺は頼まれただけだ!」
スペディオ:白いローブの男だな!
GM:「なぜそれを……!」

 町に侵入して神殿周辺の地図を手に入れてくる。
 そう依頼されたと、山賊の頭は語ります。

ゼロ:そいつはどこにいる?
GM:「町の北の森にある遺跡まで地図を届けろって言われたぜ。」
バスター:遺跡かぁ。
デニス:そこに行けばゴーレムいる!?
スペディオ:たぶん、いるんじゃないかな? たぶんね。
デニス:行く行く行く!
バスター:その前に神官さんのところにいかないと。
デニス:そうだっ……!(笑)

 さあデニス、運命の時間が迫ってきております。



 神殿に戻ると、出迎えてくれた神官さんは……

GM:「よくやってくれた。それにしても、よく連中の居場所が分かったな。

 わざわざ聞くあたり、GMもイジワルでしょうか。
 ここで、論点?「神官に報告するべきか?」に直面です。

スペディオ:「それは、まぁ……」
バスター:ねえ、言うの?
デニス:言おうよ! 言わないとやばいって!
ゼロ:まあ……


 隠していればバレないし、しゃべったら悪党に命を狙われるかもしれない。
 でも隠したままでいるのは……

 このジレンマの解決を迫られたデニス。
 その答は……

デニス:もういい! 言う! 全部言った!
GM:OK。では、穏やかな表情のままで答えます。「そうか。そんな大変な思いをしたとはな。」
スペディオ:あれ、驚かないの?
GM:「ははは、わしらだって知らんわけではない。だが今すぐ戦いになるというわけでもない。いつか連中と事を交えるときは、おぬしらにも手を貸してもらうかもしれんな。」
デニス:狙われたりしないかな?
GM:「向こうとて本気ではあるまい。おおかた、君たちの度胸試しのつもりだったんだろう。」
バスター:良かったー。
デニス:ふう。
GM:「想像よりも苦労をかけたようじゃ。すまなかったな。しばらくはゆっくり休むと良い。」
スペディオ:いや、そういうわけにはいきません。
デニス:そうだ! 遺跡に行かなくちゃ!

 ついに宿命の相手・「白いローブの男」とその手下・「ゴーレム」の居場所をつかんだ一行。
 雪辱を晴らすべく、敵の本拠地へと乗り込む覚悟を決めた一行は……

バスター:ねえ、HPはどうするの?
デニス:なに?
ゼロ:ダメージうけてるでしょ。
スペディオ:……ま、一晩寝てから行きましょうか(笑)



 次回、最終回前編です!



 ~ 中級について ~
 ところで、実は中級ではシティアドベンチャーはサポートされません。中級の段階にある子どもたちが、彼らだけでシティアドベンチャーを管理するのはまだ無理だろう……ということで、上級に繰越ししております。遠からず公開の中級ルールブックでもエオーラの町のマップなどは掲載されません。
 今回は僕がGMだったこと、プレイヤーたちがなかなかしゃべれるメンバーだったこと……このあたりの事情から試験的にやってみました。学ぶところはたくさんあったので、この成果は今後の冒険王道に生かしていきたいとおもいます。 
 ありがとうデニス、ありがとう見習いたち!

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ほくろん

Author:ほくろん
愛知県内にて青少年育成の指導者・アドバイザーをしつつ、TRPGやボードゲームの作成・普及啓発を行っております。

今となっては遠く離れ、それぞれに凝固している教育とあそびを、少しずつ暖めながら融和させていきます。

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登録名は『冒険王道』の著者名です。
(あくまで個人アカウントですので、ご承知置きください)