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牛久保小学校#4-3 扉をめぐる攻防

 さて、ダンジョンといったら「扉」。
 ダンジョンに入るとき、部屋を移動するとき……冒険には欠かせないオブジェクトです。
 もちろん子ども達のダンジョンにも扉はついているのですが……


1 鍵が……

ほくろん:扉に鍵かかってるんだ?
子ども1:うん!
ほくろん:……難易度は?
子ども1:20!
ほくろん:(……能力値は1~3なんだが……)


 ということで、「開錠の難易度が厳しい」。
 これ、なんだか良くあるパターンですね。
 しかし! 実は続きがあります。

子ども1:……そっか。難易度は、じゃあ、10!
ほくろん:まあシーフなら開けられそうだね。シーフは鍵開けに+2できるからね。
子ども1:それでね、モンスターが……
ほくろん:ちょっと待った。もし鍵が誰も開けられなかったらどうする?
子ども1:っ……!! 


 ということで、「鍵が開かなかったらどうする!?」がここでのポイント。

 セッションはダイス目次第ですから、難易度が適切でも起こってしまうことはあります。
 そのとき「はいセッション終了ですー」ではちょっと味気ない!
 「そんなときどうする?」と問うことで、「実際の場面でテンパらないように対策しよう!」

 ……と、表向きはそう教えつつ、実は「失敗するとセッションが止まる判定」に敏感になるよう、そそのかすのが目的です。
 入り口の扉の開錠をはじめとして「失敗するとセッションが詰む」タイプの判定と、「失敗しても不利になるだけ(ダメージなど)」タイプの判定では、セッションでのハンドリングに差が出ます。
 ダンジョン作りの段階でそれを嗅ぎ分けられるよう、少し意識を向けてもらっていたのでした。

 (……という目的の全てを伝えるのは、さすがに上級生向けです。実際は子どもの習熟を見てどこまで伝えるかな~と考えております)

 彼の場合、時間切れとなったためにこのポイントは「宿題」としておきました。
 どんな答えを用意してきてくれるのか、楽しみです。


2 扉が……

ほくろん:怪しい屋敷、良いじゃん。入り口は、押す扉なの?
子ども2:自動ドア!

まてまて(笑)


ほくろん:この世界にはまだ機械は無いんじゃないか?
子ども2:これ別荘なの。お金持ちの家だから何でも作れる!
ほくろん:うん……じゃあ近くに発電所と電線があるってことだな?
こども2:っ……!!
ほくろん:……あのさ、「魔法で動く自動ドア」ってことにしたら?
子ども2:なるほどー。


 こうしてみると、「ファンタジーな家」っていうイメージに慣れてないのかな……? とも思います。
 ここではあえてインフラの話にまで広げ、ファンタジーの味わいでもある文明レベルを思い知ってもらうこととしました。

 いや、実を言うと、彼のシナリオを何回見ても自動ドアである意味がないのですが……
 「いや、もしかしたらダンジョン全体のトリックに関わっているのかも……」ということで、全体のビジョンが見えるまでは見守ることとしました。




 ということで、扉をめぐって2エピソードを紹介しました。
 ゲーム面でも、世界観的にも、ちょっとした設定ミスの裏にはひろーい「ぼんやりしたイメージ」が広がっています。ダンジョンの細部を直しつつ、ちょちょいと背景を指摘してあげれば、きっとその知恵を応用してもっといいダンジョンにしてくれることでしょう!
 この後、彼らがどんな修正を加えてセッションに挑むのか……それは彼らがGMデビューするとき、併せてお伝えできればと思います。
 
 次の記事では「モンスター」に着目して、子どもたちのシナリオのポイントを紹介できれば~、と考えています。
 では!
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コメント

[C39] こんにちわ

ブログをやっていると言うことを枯葉氏より聞きましてやってきました。

昨年度の状態を知る自分としては、ほくろん氏の手際にただただ驚くばかりです。
4回目にしてここまでRPGの形を整えられてることがすごいと思います。
是非またその辺りのコツなんかを話し合える機会が生まれればありがたいです。

[C40] 判定と自動ドア

「ドアの鍵が開かなかったら、どうしよう」
これは凄く良い問題ですね。
「武器や体当たりで強引に力押し」「別の入り口を探す」などが思いつきますが
『別の部屋から鍵を探し出す』を暫く私も思いつかなかった。
固定観念を壊すのは本当に難しいです。

自動ドアである意味が無いのは困りましたね。
子供2の家は自動ドアではないはずですが。w
ただファンタジーでも機械式で自動ドアはアリかなと思いました。
迷宮の罠を考えると自動ドアくらいなんとかなりそうな気がします。

勿論イメージは人それぞれなので、両方が正解でしょうけれど。

[C41] Re: こんにちわ

ろくさま
> ブログをやっていると言うことを枯葉氏より聞きましてやってきました。

 ありがとうございます。
 こちらこそ、また進め方などアドバイスお願いします。
  • 2010-07-07 00:36
  • ほくろん
  • URL
  • 編集

[C42] Re: 判定と自動ドア

白い北風さま
> 「ドアの鍵が開かなかったら、どうしよう」
> これは凄く良い問題ですね。

 GMとして「不測の事態」に備えておく……と言う必要性と同時に、GMとしてそういうことに気をつけてダンジョンを作ったと言う経験がプレイヤーとしてのスキルの向上にもつながるかな……と思います。
 実際にどんな対策を考えてくるかは、僕も楽しみです(笑)

> 自動ドアである意味が無いのは困りましたね。

 最終的には「それでプレイヤーが楽しめるか?」が課題ですしね。
 「自動ドアだスゲーだろー!」というノリで設定してしまうと、セッション中に生かしきれずに迷走してしまう恐れもありますし、「自動ドアだからこそ楽しいダンジョン」にしてくれるならアリかなぁ、と。

> ただファンタジーでも機械式で自動ドアはアリかなと思いました。
> 迷宮の罠を考えると自動ドアくらいなんとかなりそうな気がします。

 子どもたちがそこまで考えてきてくれるなら、認めるかもしれませんね~。
 その設定力に敬意を表して(笑)
  • 2010-07-07 00:42
  • ほくろん
  • URL
  • 編集

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プロフィール

ほくろん

Author:ほくろん
愛知県内にて青少年育成の指導者・アドバイザーをしつつ、TRPGやボードゲームの作成・普及啓発を行っております。

今となっては遠く離れ、それぞれに凝固している教育とあそびを、少しずつ暖めながら融和させていきます。

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(あくまで個人アカウントですので、ご承知置きください)