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国府小学校#1 黒板プレイとTRPG

国府小学校#1の報告、続いてキャラメイク……と思ったんですが、
そろそろ「なぜTRPGか?」ということに少しづつ、触れていきたいと思います。
今回は国府小学校#1での「黒板プレイ」を巡って。

 今回の黒板プレイで、「見張りのいる小屋にどうやって入るか」と子どもたちに問いかけたとき、やはりまっさきに「倒す!」「攻撃する!」が出てきます。しかし、倒すのは良いけど「どうやってやるの?」と問いかけると、彼らは答えに詰まってしまいます。そこで、「今手に持っているのはこんな武器で……」「周りはこんな状況で……」ということを確認すると、次第に彼らの答えが具体性を帯びてきます。
 ここで重要なのは「具体性」というキーワード。これを成り立たせるのが「想像力」という力です。TRPGにおいて「課題」として提示されるものは、基本的にフィクションであり、プレイヤー自身がその状況の中にいる訳ではありません。ここで「見張りがいます」という状況認識で行動を行おうとすれば、当然「倒す? どうする?」が選択肢となってくるでしょう。しかし、そこで立ち止まって「周りには何がある?」「俺は何を持っている?」と想像することで、「倒す」という行動が具体性を帯びてきます。今回の黒板プレイでは、子どもたちの最初の「行動宣言」に対して想像の欠如を指摘することで、「そういう想像が必要なゲームなんだ!」と導いたというわけです。これは「想像力の涵養」というより「想像力のスイッチを入れることの大切さ」を理解してもらったと言えます。彼らは想像力を幾ばくかは持っているのですが、「ゲーム」という行為、つまり「仮想的に与えられた課題に対処する遊び」に取り組むにあたって、課題を取り巻く状況を「想像する」という行為を差し挟まない、そもそも「想像力スイッチを入れてない」状態だったのだと思います。想像力の強弱を語る以前に、「想像してみる癖を付けなさいね!」という感じでしょうか。

 この想像力という能力は、例えば「人の気持ちになって考えて見なさいね」とか、「学校祭の出し物に必要な準備は何か?」などの実践で必要とされる能力と同じ線上にあるでしょう。ある人、あるいはあるイベントを取り巻く状況を、それを直接体感することなく具体的に把握するには想像力が必要なのです。子どもたちがが「想像力を働かせる」という行為に慣れ親しんでくれれば、コレからの人生で自然と想像する機会が増え、その繰り返しこそが「想像力」をのばす手だてとなるのでは……と思います。

人の教育は一朝一夕にしてならず。ただ、TRPGという「楽しい遊び」が、彼らの成長のきっかけになればと思う限りです。

あー。次回は本題に戻ってキャラメイクのおもしろ話でもしたいなぁー。
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コメント

[C1] 素晴らしい活動

O-Ton@タクさんから伺ってサイトを拝見させていただきました。素晴らしい活動です。日本国内でここまでイカしてる活動を実践されてる方は、他に無いと思います。応援します!

[C2] Re: 素晴らしい活動

> 素晴らしい活動です。日本国内でここまでイカしてる活動を実践されてる方は、他に無いと思います。応援します!

 ありがとうございます。
 ブログにすることで、興味を持っていただけてうれしいです。

 僕らもまだまだ試行錯誤をしながらやっていますが、TRPGという遊びをもっと良くしたい! という思いで続けていきたいと思います。
 時々しか更新してませんが、ぜひこれからもご覧ください。


 


  • 2010-05-24 11:44
  • ほくろん
  • URL
  • 編集

[C3] 子どものときにこういう授業を受けたかった

素晴らしい活動ですね。
子どものときにこういう授業を受けたかったです。

私も小学生の甥っ子姪っ子とTRPG遊んでいます。
始めて遊んだのは小学3年生と1年生のときでした。
そのときのプレイの様子はこちら
http://trpg.chesuto.jp/e31636.html
私自身も楽しく、子ども達の発想の面白さなど発見の多いセッションでした。

個人的にTRPGはファーストコンタクトしだいで、遊び続ける人、もう遊ばない人と分かれてしまうイメージがあるので、学校で先生や友達とTRPG遊んだ、楽しかったという思い出ができたら、TRPGの将来的にも素敵だなと思います。
家でこのときのセッションの話をして、家族とTRPG遊ぶ子とかでてきたら最高ですね。
  • 2010-05-24 22:26
  • たぐっちゃん
  • URL
  • 編集

[C4] Re: 子どものときにこういう授業を受けたかった

 コメント、ありがとうございます。

> 私も小学生の甥っ子姪っ子とTRPG遊んでいます。
> 私自身も楽しく、子ども達の発想の面白さなど発見の多いセッションでした。

 ホームページ、拝見いたしました。『ゆうこや』を選択されるとは、さすがですね。
 TRPGだからといって戦闘戦闘と考えず、「困っている人を助ける」ことを考えるのが楽しめるというのはすばらしいと思います。
 
 子どもたちのセッションをみると、普段のセッションでいかに自分が型通りの発想をしていたのかと反省させられてしまいます(笑)

> 個人的にTRPGはファーストコンタクトしだいで、遊び続ける人、もう遊ばない人と分かれてしまうイメージがあるので、学校で先生や友達とTRPG遊んだ、楽しかったという思い出ができたら、TRPGの将来的にも素敵だなと思います。

 僕も説明をしながら、自分が初めてTRPGに触れたときのわくわく感をずっと思い出していました。
 次回から実際のセッションに入るので、気を引き締めていきたいと思います。
 

> 家でこのときのセッションの話をして、家族とTRPG遊ぶ子とかでてきたら最高ですね。

 実はクラブの目標を「子どもたちが家族と・友達と・セッションを運営できる」ところに考えているので、まさに、おうちで遊んでもらえたらうれしい限りです。
  • 2010-05-24 23:31
  • ほくろん
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プロフィール

ほくろん

Author:ほくろん
愛知県内にて青少年育成の指導者・アドバイザーをしつつ、TRPGやボードゲームの作成・普及啓発を行っております。

今となっては遠く離れ、それぞれに凝固している教育とあそびを、少しずつ暖めながら融和させていきます。

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登録名は『冒険王道』の著者名です。
(あくまで個人アカウントですので、ご承知置きください)